離職防止

親の介護で仕事を休むときの伝え方|上司への例文と使える休み

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

ノートパソコンを前に、上司に相談する女性のイメージ

親が倒れた、退院後の生活に手助けが要る。そうした場面では、仕事を休む必要が出てきます。会社に最初に伝えるのは「親の介護が必要になった」という事実で足ります。休みの申出で明らかにする事項に、病名は含まれていません※3。2025年4月からは、介護に直面したことを伝えた従業員に、会社が制度を個別に知らせ、利用の意向を確かめることが義務になりました※1。本記事では、誰に・いつ・何を伝えるか、場面別にそのまま使える例文、休みの種類ごとの申出の期限を整理します。

最初に伝えるのは「介護が必要になった」という事実

介護のための休みを取る前に、まず会社に状況を伝えます。伝える中身は、家族の介護が必要な状況になったという事実です。育児・介護休業法ではこれを「介護に直面した旨の申出」と呼び、例として、親が骨折などのけがをして、歩行や食事などの日常生活に手助けが必要になったことを申し出る場面が挙げられています※1。

2025年4月から、この申出を受けた会社は、本人に次の3つを個別に知らせ、制度を使う意向を面談などで確かめなければなりません※1。

  • 介護休業や介護休暇などの制度の内容(残業の免除や短時間勤務などを含む)
  • 制度の申出先(人事部、総務課など)
  • 介護休業給付金のこと

つまり、制度の名前や条件を調べ上げてから交渉する必要はありません。「介護が必要になった」と伝えれば、会社から説明を受けられます。また、介護が必要な状況になったことを申し出たこと自体を理由に、解雇や降格などの不利益な取扱いをすることも、2025年4月から禁止されています※2。

まだ休みが要るか分からない段階でも:入院した、検査の結果を待っているなど、先の見通しが立たない段階でも伝えてかまいません。会社が制度を案内するまでの期間には目安があり、早く伝えるほど、希望する日から休みに入りやすくなります。最初の1か月にやることの全体は親の介護が始まったら|最初にすべきこと5ステップにまとめています。

誰に・いつ・どうやって伝えるか

会議室で、向かいの相手に話す女性のイメージ

誰に:直属の上司と、人事の窓口

仕事の調整が要るので、多くの場合は直属の上司に先に伝えます。制度の手続きを担当するのは、人事部や総務課などの窓口です。上司に話しにくい事情があるときや、会社に介護の相談窓口があるときは、人事や窓口に直接相談してもかまいません。会社が知らせる「制度の申出先」が、休みの手続きの正式な宛先になります。

いつ:分かった時点で、期限より前に

休みの種類によって、申出の期限が違います。介護休暇は当日でも申し出られますが、介護休業は開始の2週間前まで、残業の免除は開始の1か月前までです※3※5※6。会社が制度を案内する時期の目安も、介護休業の開始を希望する日の1か月以上前に申し出た場合は「開始希望日の2週間前まで」、1か月を切ってからの場合は「できる限り早い時期(1週間以内など)」とされています※1。迷ったら、分かった時点で一報を入れておきます。

どうやって:最初は口頭で、要点は記録に残す

最初の相談は、面談や電話など話せる形が向いています。そのうえで、伝えた内容と頼んだことをメールやチャットで短く残しておくと、上司と人事のあいだで話が食い違いません。介護休暇は口頭でも申し出られますが、介護休業と残業の免除は書面で申し出るのが原則です(会社が認めれば電子メールなども可)※3※5※6。

伝えることと、伝えなくてよいこと

伝える内容は、仕事の調整に必要なことに絞れば足ります。

伝えること

仕事の調整に必要な4点

①誰の介護か(父、母、義母など続柄) ②介護が必要になった事実と、分かっている範囲の見通し(入院中で、退院は○日の予定など) ③当面必要になりそうな配慮(急な休み、通院の付き添い、残業の調整) ④使える制度について相談したいこと

伝えなくてよいこと

私的な事情の詳細

①病名や検査の結果など、詳しい病状 ②家族の経済状況や、きょうだいとの関係などの家庭の事情 ③介護がいつまで続くかの確かな見通し(分からないのが普通です)

介護休暇の申出で明らかにする事項は、労働者の氏名、対象家族の氏名と続柄、休む日(時間単位なら開始と終了の時刻)、対象家族が要介護状態にある事実の4つです※3。会社が要介護状態を証明する書類を求めることはありますが、医師の診断書に限られず、要介護認定の結果通知書など本人が出せるもので足ります※4。「要介護状態」にあたるかの基準は介護休業の要件|要介護状態の判断基準と対象家族・証明書類で解説しています。要介護認定を受けていなくても、あてはまることがあります。

共有する範囲は、希望を伝えてよい:家族の介護のことを職場で広く知られたくない場合は、その希望を伝えてかまいません。厚生労働省の指針は会社に、本人の意向を踏まえて情報の共有範囲を必要最小限にするなどの配慮と、意向に沿えない場合は理由を説明するなどの配慮を求めています※1。「この件は○○課長と人事の方までにしていただけますか」と最初に添えておくと確実です。

場面別|そのまま使える例文6つ

パソコンの前でスマートフォンを操作する手元のイメージ

例文は短くて構いません。用件、休む日時、連絡のつく方法、仕事の引き継ぎの4つが入っていれば足ります。○の部分を自分の状況に置き換えてお使いください。

例文① 最初の相談(上司へ・チャットやメール)

面談の時間をもらう

「○○さん、ご相談があります。父が先週入院し、退院後は生活の手助けが必要になりそうです。今後、休みや勤務の調整をお願いすることがあるかもしれません。今週どこかで15分ほどお時間をいただけますか。」

例文② 当日の急な休み(電話・チャット)

朝、休むことを伝える

「おはようございます。母の介護の対応が急に必要になり、本日は介護休暇で休ませてください。午後から出られるかどうかは、○時ごろにあらためて連絡します。急ぎの件は携帯に連絡をいただければ対応します。」

例文③ 定期的な通院の付き添い

時間単位の介護休暇を相談する

「来月から、父の通院の付き添いのため、毎月第2火曜日の午前中に介護休暇を時間単位で取りたいと考えています。午後は出社します。午前の定例会議の日程を動かせるか、ご相談させてください。」

例文④ 介護休業の相談

まとまった休みを申し出る

「父の退院が○月○日に決まりました。退院後の介護サービスの手配と自宅の準備のため、○月○日から○月○日まで介護休業を取りたいと考えています。申出書は今週中に提出します。引き継ぎの案を作りましたので、ご確認いただけますか。」

例文⑤ 人事への問い合わせ(メール)

使える制度を確かめる

「人事部 ○○様 営業部の○○です。母の介護が必要になり、使える制度について伺いたくご連絡しました。介護休暇・介護休業・残業の免除・短時間勤務の条件と申出の方法、介護休業給付金の手続きを教えていただけますか。」

例文⑥ チームへの共有

範囲を決めて伝える

「家族の事情で、しばらく急に休んだり早めに退社したりすることがあります。不在のときの対応は○○さんにお願いしています。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」(介護の詳細は書かない形です)

当日の連絡は、会社が決めている方法(電話、チャットなど)に従います。介護休暇は、当日の電話などによる申出でも取得を認め、書面の提出を求める場合も事後でよいとする必要があるとされています※3。介護休暇が有給か無給かは会社の規程によるため、例文②の「介護休暇で」を「有給休暇で」に置き換えて使う場面もあります。

使える休みと、申出の期限

スケジュール帳とペンのイメージ

介護のために使える主な休みと、申出の方法です。どれを使うかで、伝える内容と期限が変わります※3※5※6。

日数と、申出の期限・方法 伝える内容のポイント
介護休暇 年5日(対象家族が2人以上なら年10日)。1日単位でも時間単位でも取れる。当日でも申し出られ、口頭でもよい。書類は後からでよい 休む日時、家族の続柄と状況。有給か無給かは会社の規程による
介護休業 同じ家族について通算93日・3回まで。開始予定日の2週間前までに書面で 休業の初日と末日。休業中にやること(サービスの手配など)
残業の免除
(所定外労働の制限)
1回につき1か月以上1年以内。開始予定日の1か月前までに書面で いつからいつまで免除が必要か。何回でも請求できる
年次有給休暇 会社の規程による(前日までなど) 取得の理由を伝える必要はない

年次有給休暇は、どのように利用するかは労働者の自由とされています※3。介護のためと伝えずに使うこともできますが、介護休暇は年次有給休暇とは別に与えられる休みです。介護休暇を先に使えば、年次有給休暇を自分の体調不良などのために残しておけます。短時間勤務など、ほかの働き方の制度は介護の短時間勤務|所定労働時間の短縮等の措置と4つの選択肢で、休暇と休業の違いは介護休暇と介護休業の違い【比較表】給与・給付金・日数で解説しています。

介護休業は「自分が介護する93日」ではない:介護休業は、介護サービスの手配など、介護の体制を整えるための休業と位置づけられています※6。上司に伝えるときも「休業中に何を整えるか」を添えると、復帰の見通しが伝わり、引き継ぎの相談がしやすくなります。

契約社員・パート・派遣で働いている場合

介護休暇は、日々雇い入れられる人を除き、契約社員やパートタイマーも取得できます。2025年4月からは、入社6か月未満の人を労使協定で対象外にする仕組みがなくなりました。労使協定で対象外にできるのは、週の所定労働日数が2日以下の人などに限られます※3。介護休業も、契約が終わることが明らかでなければ、期間を定めて雇用される人も対象です※6。

派遣で働いている人は、派遣元に申し出る

休みの制度の申出先は、雇用主である派遣元(派遣会社)です。派遣先の上司にも勤務の調整のために伝えますが、伝え方は派遣元の担当者と先に相談しておくと安心です。派遣労働者が休みを申し出たことや取得したことを理由に、派遣先が派遣元に交替を求めることは、不利益な取扱いにあたるとされています※2。

伝えたあとに言われがちなことと、法律の線

伝えた相手の反応で、休みを取るのをあきらめてしまう人がいます。よくある言葉と、法律での扱いを並べます。

1

「うちでは前例がない」

前例の有無は関係ありません。会社が制度を個別に知らせるときに、取得の前例がないことをことさらに強調するなど、取得を控えさせるような形での説明は認められていません※1。

2

「時短にするなら、パートになったら」「いっそ辞めては」

制度の利用を申し出たことや利用したことを理由に、正社員からパートタイマーへの変更や、退職を強要することは禁止されています※4。

3

「診断書がないと休ませられない」

介護休業では、証明書類の提出を制度利用の条件にできず、診断書の添付を就業規則で義務づけることもできません※4。介護休暇で証明書類を求める場合も、事後の提出を可能にするなど、過重な負担にならない配慮が求められています※3。

4

「休むなら、評価は覚悟して」

休暇や休業の申出・取得を理由とする降格、減給、昇進・昇格の人事考課での不利益な評価は禁止されています。休んだ日数を超えて働かなかったものとして扱うことも、不利益な算定にあたります※2。

こうした言動は、ケアハラ(ケアハラスメント)とは|言動の具体例と防止措置4つにあたることもあります。上司との話で行き詰まったら、人事や社内の相談窓口に直接相談します。社内で解決しないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。辞めるかどうかを考えはじめている場合は、先に親の介護で退職する前に|辞めずに済む制度と判断の順番をご覧ください。

人事・管理職の方へ|相談を受ける側の準備

この記事は、介護に直面した従業員に渡す資料としてもお使いいただけます。相談を受ける側では、次の3点を決めておくと、従業員が伝えやすくなります。

よくあるご質問

親の介護で休むとき、会社に病名まで伝える必要がありますか?

必要ありません。介護休暇の申出で明らかにする事項は、労働者の氏名、対象家族の氏名と続柄、休む日、対象家族が要介護状態にある事実の4つで、病名は含まれていません。会社が要介護状態を証明する書類を求めることはありますが、医師の診断書に限られず、要介護認定の結果通知書など本人が出せるもので足ります。

当日の朝に連絡して、介護休暇を取ることはできますか?

できます。介護休暇の申出は書面に限られず、口頭でも可能です。会社は、当日の電話などによる申出でも取得を認め、書面の提出を求める場合も事後の提出でよいとする必要があります。会社が決めている当日の連絡方法(電話やチャットなど)で、休む日時と家族の状況を短く伝えます。

介護休暇と年次有給休暇は、どちらを使えばよいですか?

どちらも使えます。介護休暇は年次有給休暇とは別に年5日(対象家族が2人以上なら年10日)あり、有給か無給かは会社の規程によります。年次有給休暇はどのように使うかが労働者の自由で、取得の理由を伝える必要はありません。介護休暇を先に使えば、年次有給休暇を自分の体調不良などのために残しておけます。

上司に「前例がない」と言われたら、どうすればよいですか?

人事や社内の相談窓口に直接相談してかまいません。会社には、介護に直面した従業員に制度を個別に知らせる義務があり、取得の前例がないことをことさらに強調するなど、取得を控えさせるような形の説明は認められていません。休みの申出や取得を理由とする不利益な取扱いも禁止されています。社内で解決しないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

派遣社員は、介護の休みを誰に伝えればよいですか?

制度の申出先は、雇用主である派遣元(派遣会社)です。派遣先の上司にも勤務の調整のために伝えますが、その伝え方も派遣元の担当者と先に相談しておくと安心です。派遣労働者が休みを申し出たことや取得したことを理由に、派遣先が派遣元に交替を求めることは、不利益な取扱いにあたるとされています。

出典

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて作成しています。例文は説明のための例であり、実際の状況に合わせて調整してください。労使協定や就業規則の定めによって取扱いが変わる場合があります。個別の適用については、勤務先の人事担当者、所轄の労働局または社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

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