介護の基礎知識

介護認定調査とは|聞かれる74項目と、働く家族の立ち会い方

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

職員の聞き取りに答える、車いすの高齢の女性のイメージ

介護認定調査(認定調査)は、要介護認定を申請したあとに、市区町村の調査員が自宅や入院先を訪ね、本人の心身の状態と、ふだん受けている介助を確かめる調査です。全国共通の調査票で74項目を確かめ、その結果と主治医意見書をもとに要介護度が決まります※1※3。調査は原則1回で、時間は1時間前後、平日の日中に行う自治体が多くあります※1※5。本記事では、当日に聞かれることと答えの選ばれ方、家族が伝えると審査に生きること、働きながら立ち会うための休み方を、調査員向けの国のテキストをもとに整理します。

介護認定調査とは|要介護度を決める材料を集める、1回の訪問

介護保険法第27条第2項は、要介護認定の申請を受けた市町村が、職員に本人と面接させ、「心身の状況、その置かれている環境」などを調べさせると定めています※2。これが認定調査です。病状と、いま受けている医療の状況もあわせて調べます※3。

調査の日時は、調査員が本人や家族と調整して決めます※1。申請から数日〜2週間ほどで訪問の予約の電話が来る、と案内している自治体もあります※10。市町村は申請から30日以内に認定の結果を出すことになっているので(第27条第11項)※2、調査は申請からあまり間をあけずに行われます。

1

だれが|市町村の職員か、委託を受けた調査員

新規の申請は、市町村の職員か、市町村から事務を受託した法人が調査します。更新と区分変更の申請では、ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者や介護保険施設などに委託することもできます※1※2。

2

どこで|ふだん暮らしている場所

原則として、日頃の状況が分かる場所で行います。入院中は病室で行うこともできます※1※4。

3

何を|74項目の基本調査と、ふだんの介助の聞き取り

危険がなければ、寝返りや立ち上がりなどをその場でやってみてもらいます※1。

4

どのくらい|1時間前後、原則1回

十日町市の案内では、およそ1時間〜1時間半です※5。調査は原則1回で終えることになっています※1。

調査のあと、市町村は主治医に意見書を求めます。調査の結果と意見書をもとにコンピュータが一次判定を出し、介護認定審査会が、特記事項と意見書の内容を加味して二次判定を行います※3。申請から結果が届くまでの流れの全体は、要介護認定の流れ|申請から利用開始まで約30日・6ステップにまとめています。

何を聞かれるか|3種類の調査票と、基本調査の6つのまとまり

認定調査票は、概況調査・基本調査・特記事項の3種類でできています※1。

概況調査|暮らしの前提を書きとめる

いま使っている介護サービスとその回数、福祉用具の品目数、家族の状況、住まいの環境、病気やけがの経過などを、調査員が書きとめる欄です※1。ここに書かれた家族の状況や住まいの環境は、介護認定審査会の資料に参考として載ることがありますが、それを理由に二次判定で要介護度を変えることは認められていません※1。「家族が仕事で忙しい」こと自体で要介護度が上がるわけではない、ということです。

基本調査|6つのまとまり、74項目

一次判定のもとになる部分です。項目は次のまとまりに分かれています※1。

まとまり 項目数 主な項目
第1群
身体機能・起居動作
13項目 手足の麻痺、関節の動き、寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、片足での立位、洗身、つめ切り、視力、聴力
第2群
生活機能
12項目 ベッドから車いすなどへの移乗、移動、飲み込み、食事、排尿、排便、歯みがき、洗顔、整髪、上着とズボンの着脱、外出の頻度
第3群
認知機能
9項目 意思の伝達、毎日の日課の理解、生年月日や年齢、直前にしていたこと、自分の名前、今の季節、今いる場所、徘徊、外出すると戻れない
第4群
精神・行動障害
15項目 物を盗られたと言う、昼夜の逆転、しつこく同じ話をする、大声を出す、介護に抵抗する、「家に帰る」と落ち着かない、ひどい物忘れ など
第5群
社会生活への適応
6項目 薬の内服、金銭の管理、日常の意思決定、集団への不適応、買い物、簡単な調理
その他
特別な医療
12項目 過去14日間に受けた点滴の管理、透析、酸素療法、経管栄養、じょくそうの処置、カテーテル など

合計が74になるのは、第1群の麻痺(左右の手足など5か所)と関節の拘縮(肩・股・膝など4か所)を、1か所ずつ数えているためです※1。埼玉県は、調査員の質問の例として「生年月日はいつですか」「人の声ははっきり聞き取れますか」「排尿、排便のとき、誰かの介助が必要ですか」などを挙げています※9。

特記事項|数字にしきれない事情を書く欄

基本調査の答えを選んだ根拠や、選択肢では表しきれない介護の手間を、調査員が文章で書く欄です。介護認定審査会は、統計ではとらえにくいその人だけの手間を、特記事項と主治医意見書から読み取って二次判定をします※1※3。調査員向けの国のテキストは、選択に迷ったら特記事項に書くよう繰り返し求めています※1。家族が話した具体的な場面は、ここに書かれて審査に届きます。

答えはどう選ばれるか|3つの物差しと、見る期間

基本調査の項目は、「能力」「介助の方法」「有無」の3つの物差しのどれかで選ばれます※1。物差しによって、どの期間の様子で選ぶかも決まっています。

物差し 何を見るか どの期間の様子で選ぶか
能力 寝返り・歩行・短期記憶などが、実際にできるか。危険がなければ、その場でやってみてもらう 調査の日。日頃と違うときは、おおむね過去1週間で多く見られる状況
介助の方法 食事・排せつ・着替え・薬・金銭の管理などで、実際にどんな介助を受けているか おおむね過去1週間で、いちばん多く見られる介助のしかた
有無(行動) 物を盗られたと言う、昼夜の逆転、徘徊などが、どのくらいの頻度で起きているか おおむね過去1か月間
特別な医療 医師や、医師の指示を受けた看護師などが行う処置を、続けて受けているか 過去14日間

※厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版」にもとづいて作成※1。麻痺と拘縮も「有無」の項目で、おおむね過去1週間の様子で選びます。

行動の項目は、回数で選択肢が分かれる

第4群などの行動の項目は、過去1か月間に月1回以上・週1回未満なら「ときどきある」、週1回以上なら「ある」、ほとんど月1回に満たなければ「ない」を選びます※1。介助の方法の項目も、日によって違うときは、いちばん多い状況で選び、重い日の様子とその回数は特記事項に書くことになっています※1。家族が「ときどき」ではなく「週に何回」と伝えると、そのまま選択と特記事項の材料になります。

日中ひとりで、本当は必要な介助を受けられていないとき。介助の方法の項目は、実際に受けている介助で選ぶのが原則ですが、独居や日中独居などで介護者がいないために、適切な介助が受けられていないと調査員が判断したときは、理由を特記事項に書いたうえで適切な介助の方法を選び、介護認定審査会の判断を仰ぐことができます※1。家族が働いていて日中は本人ひとりのため、手伝いが要るのにできていないことがあれば、そのまま伝えます。

当日の流れ|動作の確認と聞き取りで、1時間前後

1

あいさつと説明

調査員は身分を証明するものを見せ、最初に調査の目的を説明します※1。

2

本人への質問と、動作の確認

名前や生年月日、今の季節、調査の直前にしていたことなどを尋ね、寝返りや立ち上がり、片足での立位などを、危険がなければその場でやってもらいます。危ないと考えられるときは無理に試みません※1。

3

家族からの聞き取り

ふだんの介助のしかた、夜間の様子、行動の回数などを聞きます。調査員は、本人と介護者の両方から聞き取るよう努め、必要に応じて別々に聞く時間を設けることになっています※1。

4

確認して終わり

不明な点や選択に迷う点を確かめ直して終わります※1。要介護度はその場では決まらず、審査のあとに書面で届きます※5。

十日町市は、調査を平日の日中(午前9時半〜午後3時ごろ)に行い、時間は「およそ1時間〜1時間半」としています※5。曜日や時間帯は自治体によって違うので、日程の電話のときに確かめます。

入院中の調査は、多くの場合、病棟の看護師が立ち会ってふだんの様子を説明します。手術の前後や急性期など、状態が安定しない時期は、正しい介護の手間が測れないため調査を見合わせることがあります※1※4。

本人が「できる」と答えてしまうとき|日頃の様子で選ぶ決まりがある

調査の場では、本人がふだんより気を張って「できます」と答えたり、実際にできてしまったりすることがよくあります。調査員向けのテキストには、このときの扱いが決まっています。その場の様子が日頃と違うと考えられるときや、日によってできたりできなかったりするときは、おおむね過去1週間で、より多く見られる状況で選び、選んだ根拠と日頃の様子を特記事項に書きます※1。

テキストに載っている例(短期記憶)。調査の日には昼食に何を食べたかまで答えられた。しかし家族の話では、日頃は物忘れがひどく、直前のことも覚えていないことが多い。この場合は「できない」を選ぶ、とされています※1。

家族が日頃の様子を具体的に伝えることが、そのまま選択の根拠になる、ということです。一方で、本人の前で「本当はできないでしょう」と打ち消すと、本人の気持ちが傷つき、調査の場も硬くなります。言いにくいことは、メモにして調査員に渡すか、本人と別に話す時間をもらうと伝えやすくなります。

調査員への伝え方の例:「今日は母がしっかり答えてくれましたが、ふだんは朝の薬を飲んだかどうかを週に3〜4回忘れます。その日は私が夜に電話で確かめています。夜中のトイレは3回ほどで、週に2回は間に合わずに着替えを手伝っています。くわしくはこのメモにまとめました。」

立ち会う前に書くメモ|場面・回数・かかる時間を数字で

ノートにメモを書き込む手元のイメージ

調査員向けのテキストは、特記事項に「ときどき」「頻繁に」のような人によって受け取り方が違う言葉を使わず、「週に2、3回」のように数で書くよう求めています※1。家族のメモも同じ物差しで書いておくと、そのまま調査票に生きます。

書くこと 書き方の例 つながる項目
夜の様子 夜中に3回トイレに起き、週2回は間に合わずに着替えを手伝う 排尿、ズボン等の着脱、昼夜の逆転
物忘れ 朝の薬を飲んだかを週3〜4回忘れる。毎晩、電話で確かめている ひどい物忘れ、薬の内服
お金と買い物 同じ物を何度も買ってくる。通帳と財布は、週1回子が確かめている 金銭の管理、買い物
動作 立ち上がるときは毎回、手すりか家族の手を借りる。先月2回転んだ 立ち上がり、歩行、移動
行動 「財布を盗られた」と週1回ほど言い、そのたびに30分ほど一緒に探す 物を盗られたなどと被害的になる
家族の手間 平日は朝と夜に合わせて1時間、週末は通院の付き添いで半日 特記事項(介護の手間)

メモには、次のものも添えておくと、概況調査の欄がその場で埋まります※1。

  • 飲んでいる薬の一覧(お薬手帳の写し)
  • 病気やけがの経過と、入院した時期
  • いま使っている介護サービスとその回数、使っている福祉用具
  • 主治医の名前と医療機関(主治医意見書を頼む先)

働きながら立ち会う|休み方

カレンダーと置き時計で予定を確かめるイメージ

調査員向けのテキストは、家族などの介護者がいる在宅の人の調査では、介護者が不在の日は避けるよう求めています※1。日程の電話が来たら、立ち会いたいことと、都合のよい日時をはっきり伝えます。藤沢市は、訪問調査を委託する事業者に、日程を決めるときは家族などが同席を希望するかを必ず確かめ、希望があれば本人だけで調査をしないよう求めています※6。

介護休暇は、始業から・終業までの時間単位が原則

立ち会いには介護休暇が使えます。介護休暇は、対象家族の介護のほか、通院などの付き添いや、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行など「必要な世話」のために取れる休みで(育児・介護休業法施行規則第38条)※8、厚生労働省の指針も介護保険の手続きを例に挙げています※7。1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで、時間単位でも取れ、当日の申出もできます※7。

時間単位で取るときは、始業の時刻から続けて取るか、終業の時刻まで続けて取るのが法律の求める形で、勤務の途中で抜けて戻る「中抜け」まで認めることは求められていません※7。調査を朝いちばんか、午後の遅めの時間にしてもらうと、休む時間が短くて済みます。

調査の時間 休み方の例 介護休暇
9時30分から 始業の9時から休み、調査のあと昼休みの間に職場へ戻る 3時間(9時〜12時)
15時から 14時30分に職場を出る。1時間単位なので14時から終業まで休む 4時間(14時〜18時)
13時30分から 昼休みのあと職場に戻らず、そのまま終業まで休む 5時間(13時〜18時)

※所定労働時間が9時〜18時(休憩12時〜13時)、実家まで片道30分の例。中抜けを認めている会社なら、調査と移動の時間だけで済みます。

介護休暇を有給にするか無給にするかは会社が決めます。年次有給休暇とは別の休みで、どちらを使うかは本人が選べます。日数・給与・申出のくわしい決まりは介護休暇とは|年5日の取得条件・時間単位・給与(有給か無給か)に、上司への伝え方の例文は親の介護で仕事を休むときの伝え方|上司への例文と使える休みにまとめています。

介護休暇は「要介護状態」の家族のための休みです。要介護状態は「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」で、認定を受ける前でも、厚生労働省の判断基準にあてはまれば対象になります※7。判断基準の12項目は介護休業の要件|要介護状態の判断基準と対象家族・証明書類で確かめられます。あてはまるか迷うときは、会社の人事に相談するか、年次有給休暇を使います。

立ち会えないとき・離れて暮らしているとき

中野区は、忙しくて同席できない家族が電話などで本人の日頃の状況を伝えられるかという問いに「できます」と答え、そのことを調査の前の、日程を決める段階で調査員に伝えるよう案内しています※4。扱いは自治体によって違うので、日程の電話のときに尋ねます。

  • 日程の電話で「当日は立ち会えないので、電話で様子を伝えたい」と伝える
  • 回数と時間を書いたメモを、同居の家族やきょうだいに託して当日に渡してもらう
  • 日頃の様子を知る家族やケアマネジャーに、立ち会いを頼めないか相談する
  • 入院中なら、病棟の看護師が立ち会うことが多い※4

本人が子の家などに身を寄せていて、住所地から遠く離れた場所にいるときは、住所地の市町村が、いまいる土地の市町村に調査を頼むことができます(介護保険法第27条第2項)※2。中野区のように、申請書にいまいる場所を書く欄を設けている自治体もあります※4。ケアマネジャーの役割はケアマネジャーとは|役割と、従業員に案内するときの要点で解説しています。

人事担当者が案内しておくこと

認定調査は、介護保険のサービスを使い始めるときに必ず通る場面で、平日の日中に1時間前後、家族の立ち会いが望まれます。調査が実際より軽く判定されると、使えるサービスの量が足りず、家族が仕事を休んで埋めることになりがちです。次の点を、介護に直面した従業員への個別の周知や、社内のセミナーで伝えておくと、休み方に迷いません。

  • 認定調査の立ち会いに、介護休暇を時間単位で使えること
  • 時間単位の取り方(始業から・終業まで)と、中抜けを認めるかどうか
  • 当日の電話での申出を受ける窓口と、書面は事後でよいこと
  • 調査の前に、回数と時間を書いたメモを用意するとよいこと
  • 介護休暇を使い切った人が使える、年次有給休暇などのほかの手段

従業員への説明の例:「認定調査の日程が決まったら、介護休暇を時間単位で使えます。朝いちばんの時間にしてもらえれば、始業から3時間ほどの休みで立ち会えます。ご家族のふだんの様子は、『週に何回』『何分かかる』と数字で書いたメモにしておくと、調査員に伝わりやすくなります。」

介護に直面した従業員を、辞めずに済む流れにのせる社内の仕組みの全体は、介護離職を防ぐには|企業がとるべき対策を体系的に解説で整理しています。

よくあるご質問

介護認定調査はどのくらい時間がかかりますか?

自治体の案内では1時間前後です。たとえば十日町市は、およそ1時間〜1時間半とし、平日の日中に行うとしています。調査は原則1回で終えます。

家族は立ち会わないといけませんか?

義務ではありませんが、立ち会いが望まれます。調査員向けの国のテキストは、介護者がいる在宅の人の調査では介護者が不在の日を避け、本人と介護者の両方から聞き取るよう求めています。日程の電話のときに、立ち会いたいことを伝えます。

仕事で立ち会えないときはどうすればよいですか?

日程を決める段階で、電話などで日頃の様子を伝えたいと調査員に申し出ます。中野区は、この方法で伝えられると案内しています。回数と時間を書いたメモを、同居の家族などに託して渡してもらう方法もあります。

認定調査の立ち会いに介護休暇は使えますか?

使えます。介護休暇は、通院の付き添いや介護サービスを受けるために必要な手続きの代行などのための休みで、厚生労働省の指針も介護保険の手続きを例に挙げています。時間単位で取れますが、始業から続けて取るか終業まで続けて取るのが原則です。

本人が調査で「できる」と答えてしまったら、そのまま判定されますか?

そのままとは限りません。調査の日の様子が日頃と違うときは、おおむね過去1週間で多く見られる状況で選び、その根拠を特記事項に書く決まりです。家族が日頃の様子を回数や場面で具体的に伝えることが大切です。

本人の前では言いにくいことは、どう伝えればよいですか?

メモにして調査員に渡すか、本人と別に話す時間をもらいます。調査員は、必要に応じて本人と介護者から別々に聞き取る時間を設けることになっています。

調査のあとに状態が大きく変わったら、調査をやり直せますか?

調査は原則1回で、審査は調査と受診の時点の状態で行われます。結果を待ってから区分変更を申請するか、申請を取り下げて出し直すかを、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談します。

出典

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて作成しています。認定調査の日程の決め方、時間帯、家族が立ち会えないときの扱いは、市区町村によって異なります。お住まいの市区町村の介護保険の担当窓口、または地域包括支援センターにご確認ください。介護休暇の扱いは、会社の就業規則や労使協定によって法律を上回る場合があります。

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