ケアマネジャーとは|役割と、従業員に案内するときの要点
監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.
介護を続けられるかどうかは、ケアマネジャーとうまく付き合えているかで大きく変わります。介護保険サービスをどう組み合わせるかを設計するのがこの職種で、従業員が仕事を続けられる形になるかどうかも、ここで決まります。にもかかわらず「担当がついたが何を頼めるのか分からない」という状態のまま時間が過ぎることが少なくありません。本記事では、ケアマネジャーの役割と費用、相談できること、そして人事が従業員に案内するときの要点を整理します。
ケアマネジャーとは|正式名称は介護支援専門員
ケアマネジャーの正式名称は介護支援専門員です。ほかの用語は介護用語集にまとめています。介護保険サービスを利用する人の状況を把握し、ケアプラン(介護サービス計画)を作成して、サービス事業者との連絡調整を行うのが役割です※1。
介護の相談相手としてよく知られていますが、実務上の位置づけはもう少し具体的で、「介護保険という制度を、その家庭の事情に合わせて組み立て直す人」と考えると分かりやすくなります。同じ要介護2でも、家族が同居しているか、日中に誰もいないか、本人が何を嫌がるかによって、組むべきサービスはまったく変わります。
押さえておきたい考え方:ケアマネジャーは介護保険の専門家であって、勤務先の制度の専門家ではありません。「介護休業が93日取れる」「時差出勤が使える」といった会社側の事情は、本人が伝えないかぎり伝わりません。ここが、企業として手当てできる余地のある部分です。
どこにいるのか|要介護度で依頼先が変わる
担当がつく経路は、認定された区分によって分かれます※1。
要介護1〜5
居宅介護支援事業者と契約する
在宅で介護サービスを利用する場合、居宅介護支援事業者と契約し、その事業者のケアマネジャーに依頼して、利用するサービスを決め、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます※1。事業者は自分で選べます。
要支援1・2
地域包括支援センターが窓口
地域包括支援センターの担当職員、または居宅介護支援事業者のケアマネジャーが、介護予防サービス計画(介護予防ケアプラン)を作成します※1。まずは地域包括支援センターに相談する流れになります。
施設に入る場合
施設へ直接申し込む
施設への入所を希望する場合は、希望する施設に直接申し込みます※1。施設側にケアマネジャーが配置されており、入所後の計画はそちらが担当します。
そもそも要介護認定を受けるところからの流れは要介護認定の流れ|申請から利用開始まで約30日・6ステップで解説しています。
費用はかかるのか
ケアプランの作成に利用者の自己負担はありません。居宅介護支援は全額が介護保険から給付される仕組みになっています※2。
自己負担が発生するのは、ケアプランにもとづいて実際に利用したサービスのほうで、費用の1〜3割です※1。この違いを知らないために、「相談するとお金がかかるのでは」と考えて連絡をためらう方がいます。案内する側が最初に伝えておくと、初動が早くなります。
何を相談できるのか
ケアプランの作成だけが仕事ではありません。実際には次のような相談に応じています。
- どのサービスをどう組み合わせるか。デイサービス、訪問介護、ショートステイなどの回数と曜日の設計
- 限度額の範囲でどこまで使えるか。区分ごとに保険が適用される上限額が決まっています
- 状態が変わったときの組み替え。退院直後、認知症の進行、家族の勤務が変わったときなど
- サービス事業者との調整。合わない事業者の変更、時間帯の調整
- 本人が利用を拒むときの進め方。実際にはこの相談が非常に多くあります
実務上の注意:従業員が「仕事を続けたい」という前提を、ケアマネジャーに伝えているかどうかで、提案されるプランが変わります。伝わっていないと、家族が日中に在宅している前提で組まれることがあります。人事から従業員に案内するときは、「働き続ける前提であることを最初に伝えてください」と一言添えるだけで効果があります。
相性が合わないときは変更できる
ケアマネジャーは変更できます。居宅介護支援事業者を変えることも、同じ事業者内で担当を替えてもらうことも可能です。
ただし、変更が本当に必要かどうかは切り分けたほうがよい場面もあります。「提案が少ない」と感じる背景に、本人が利用を強く拒んでいる、限度額に余裕がない、地域にその事業者がない、といった事情があることも珍しくありません。まずは希望を具体的に伝えて、それでも噛み合わないときに変更を検討するという順序が現実的です。相談先に迷うときは地域包括支援センターとは|相談できることと利用の流れもご覧ください。
人事が押さえておきたい2点
ケアマネジャーの制度そのものは会社の管轄外ですが、企業側で手当てできる論点が2つあります。
面談の時間を確保できるか
ケアプランの作成や見直しの面談、サービス担当者会議は平日の日中に設定されることがほとんどです。ここに出られないと、本人の意向が反映されないままプランが決まります。介護休暇(年5日)や時差出勤、テレワークが効くのはこの場面です。制度の一覧は仕事と介護の両立支援制度の一覧|法定7制度と事業主の義務で確認できます。
会社の制度を本人経由で伝えてもらう
ケアマネジャーは勤務先の制度を知りません。「うちの会社では時差出勤が使える」と本人が伝えれば、それを前提にしたプランになります。個別周知・意向確認の場で制度を説明するとき、「この内容をケアマネジャーさんにも伝えてください」と添えるのが実務上の要点です。
従業員に配れる形の初動の手順は親の介護が始まったら|最初にすべきこと5ステップに、管理職が相談を受けたときの対応は部下から介護の相談を受けたら|管理職がとるべき初動対応にまとめています。
よくあるご質問
ケアマネジャーに相談すると費用はかかりますか?
ケアプランの作成に利用者の自己負担はありません。居宅介護支援は全額が介護保険から給付される仕組みになっています。自己負担が発生するのは、ケアプランにもとづいて実際に利用したデイサービスや訪問介護などのサービスのほうで、費用の1〜3割です。相談そのものに費用がかかると誤解して連絡をためらう方が少なくないため、従業員に案内する際は、この違いを最初に伝えておくと初動が早くなります。
ケアマネジャーはどうやって探せばよいですか?
要介護1〜5と認定された方が在宅でサービスを利用する場合は、居宅介護支援事業者と契約し、その事業者のケアマネジャーに依頼します。事業者は自分で選べます。要支援1・2の方は、地域包括支援センターの担当職員または居宅介護支援事業者のケアマネジャーが介護予防ケアプランを作成します。事業者を探す際は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で地域包括支援センターと介護サービス事業所を検索できます。どこから手をつけるか迷う場合は、まず地域包括支援センターに相談するのが確実です。
従業員がケアマネジャーとの面談で平日に休みを取りたいと言ってきました。何の制度が使えますか?
介護休暇が使えます。年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)で、通院の付き添いや介護保険の手続きなど日常的な介護のニーズにスポット的に対応するための制度と位置づけられており、ケアプランの面談やサービス担当者会議もこれにあたります。あわせて、時差出勤や介護のためのテレワークが利用できる場合もあります。面談は平日の日中に設定されることがほとんどで、ここに出られないと本人の意向が反映されないままプランが決まるため、企業として時間を確保できる形にしておくことが効果的です。
出典
- ※1 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」(参考)介護保険制度・地域包括支援センターについて
- ※2 厚生労働省「介護サービス情報公表システム|サービスにかかる利用料」
- 厚生労働省「介護・高齢者福祉」
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて作成しています。介護保険サービスの内容や自己負担額は、お住まいの市区町村や個々の状況により異なります。詳細はお住まいの地域包括支援センターにご確認ください。
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東急ウェルネスでは、ケアマネジャーが従業員の皆さまの介護相談に直接お応えする常設窓口をご提供しています。「担当のケアマネジャーに何をどう伝えればよいか」「提案されたプランで働き続けられるか」といった、社内では答えにくいご相談にも対応しています。企業を訪問して行う個別相談会との組み合わせも可能です。