法改正対応

介護休業の要件|要介護状態の判断基準と対象家族・証明書類

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

チェックボックスが並ぶ用紙と、赤いペンのイメージ

従業員から介護休業の申出を受けたとき、まず確かめるのは、その人が休業の要件を満たしているかです。要件は、対象となる労働者であること、対象家族を介護すること、その家族が要介護状態にあることの3つで、要介護認定を受けていることは要件ではありません※1※2。本記事では、2025年4月に見直された「常時介護を必要とする状態」の判断基準12項目、同居や扶養を問わない対象家族の範囲、証明書類の扱いを、人事担当者向けに整理します。

介護休業の要件は3つ|誰が・誰のために・どんな状態のとき

介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するために、労働者が事業主に申し出てする休業です※1。要件を分けると、次の3つになります。

1

対象となる労働者であること

日々雇い入れられる人を除く、男女の労働者です。契約社員やパートタイマーなど期間を定めて雇用される人も、契約が終わることが明らかでなければ対象です。労使協定を結んでいれば、一部の人を対象から除けます。

2

対象家族を介護すること

配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫の7つの続柄です。同居しているか、扶養しているかは問いません。

3

その家族が要介護状態にあること

負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態です。要介護2以上の認定があれば該当し、認定がなくても判断基準の12項目で該当することがあります。

このほか手続として、休業を開始しようとする日の2週間前までに書面で申し出ることが必要です。同じ家族について、通算93日・3回まで取得できます※1。申出書の様式と、受け取ってからの流れは介護休業申出書の記入例|受理から通知までの会社の対応にまとめています。

給付金の要件は別にある:介護休業給付金は雇用保険の制度で、雇用保険の被保険者であり、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることなど、休業とは別の要件があります※5。「休業できるか」と「給付金を受けられるか」は分けて確認します。詳しくは介護休業給付金の支給対象者の要件をご覧ください。

対象となる労働者|有期雇用の要件と、労使協定で除ける人

正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーなど期間を定めて雇用される人も対象です。法律が一律に対象外としているのは、日々雇い入れられる人だけです※1。

期間を定めて雇用される人の要件

有期雇用の人は、申出の時点で、休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約が満了し、更新されないことが明らかでなければ取得できます※1。更新の上限回数や「更新しない」ことが書面または口頭で明示されていて、その契約の末日がこの期間に入る場合が「明らか」にあたります。ただし、雇用継続の見込みに関する事業主の言動、同じ立場の他の労働者の状況、本人の過去の更新状況などの実態を見て判断されることもあります。

2022年4月から「1年以上」の要件はない:以前は、有期雇用の人にだけ「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件がありました。2022年4月の改正でこの要件はなくなり、入社1年未満の人を対象から除くには、正社員と同じく労使協定が必要です。

労使協定で対象から除ける人

労使協定を結んだ場合に限り、次の人を対象から除けます※1。これは除外できる範囲の上限で、より狭く除くことはできても、これより広く除くことはできません。

  • 入社1年未満の人(その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない人)
  • 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな人
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の人

労使協定がなければ除けない:就業規則に「入社1年未満は対象外」と書いてあっても、労使協定を結んでいなければ、その人の申出は拒めません。対象となる労働者の範囲を法律より狭くする就業規則の定めは、その部分が無効と解されます※1。なお、別の会社で同じ家族について介護休業をしていても、その日数は今の会社での取得日数に数えません※2。

対象家族の範囲|同居・扶養は要件ではない

車いすの母に寄り添う娘のイメージ

対象家族は、次の7つの続柄に限られます※1。同居の有無は問わず※3、扶養しているかどうかも関係ありません。

対象になる家族 対象にならない家族の例
本人側 配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫 おじ・おば、おい・めい、子の配偶者
配偶者側 配偶者の父母 配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹

古い規程や様式に「同居・扶養」が残っていないか:2017年1月の改正までは、祖父母、兄弟姉妹、孫は「同居し、かつ扶養している」場合に限って対象でした。現在はこの要件はありません。数年前の就業規則や申出書の様式に、この条件や記入欄が残っていないかを確認しておきます。

法律の範囲より広く、たとえば「おじ・おば」まで対象にする制度を会社が設けることは自由で、むしろ法を上回る制度を設ける努力が求められています※1。ただし、介護休業給付金の対象になるのは法律が定める範囲の家族です※5。広げた部分の休業は給付金の対象外になることを、従業員にあわせて伝えておきます。

要介護状態とは|常時介護を必要とする状態の判断基準

要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます※1。障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合も含み、乳幼児の通常の成育過程で日常生活上の世話が必要な場合は含みません※3。

「常時介護を必要とする状態」にあたるかどうかは、厚生労働省の判断基準を参照して判断します。次の【1】【2】のどちらか一方にあてはまれば該当します※3。

【1】12項目で判断する

「2」が2つ以上、または「3」が1つ以上

下の表の12項目のうち、「2」の状態が2つ以上、または「3」の状態が1つ以上あり、かつ、その状態が続くと認められること。要介護認定を受けていなくても使えます。

【2】要介護認定で判断する

要介護2以上

介護保険制度の要介護状態区分で、要介護2以上であること。認定の結果だけで該当します。要介護1や要支援の場合は【1】で判断します。

判断基準の12項目

表には各項目に「1」「2」「3」の3段階があり、「1」(「自分で可」「できる」「ない」)は数えません。「2」と「3」の状態は次のとおりです※3。(1)座位保持は10分間一人で座っていることができるか、(2)歩行は立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができるか、(3)移乗はベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作をみる項目です。

項目 「2」の状態(2つ以上で該当) 「3」の状態(1つで該当)
(1) 座位保持 支えてもらえればできる できない
(2) 歩行 何かにつかまればできる できない
(3) 移乗 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(4) 水分・食事摂取 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(5) 排泄 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(6) 衣類の着脱 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(7) 意思の伝達 ときどきできない できない
(8) 外出すると戻れない・
危険回避ができない
ときどきある ほとんど毎回ある
(9) 物を壊す・衣類を破く ときどきある ほとんど毎日ある
(10) 物忘れなど
認知・行動上の課題
ときどきある ほとんど毎日ある
(11) 医薬品・医療機器の
使用・管理
一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(12) 日常の意思決定 本人に関する重要な意思決定はできない ほとんどできない

表の読み方(判断基準の注から):(8)は「外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある」、(9)は「物を壊したり衣類を破くことがある」、(10)は「周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れなど日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題がある」という項目です。「自分で可」には、福祉用具を使ったり自分の手で支えたりして自分でできる場合も含みます。「見守り等」とは、常時の付き添いが必要な見守りや、認知症高齢者、障害児・者の場合に必要な「確認」「指示」「声かけ」などです。(1)の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていられる場合を、(4)の「見守り等」には食べる量や飲む量の過小・過多の判断を支える声かけを、(9)の「3」には自分や他人を傷つけることがときどきある状態を含みます。(12)の「2」は、見たいテレビ番組やその日の献立は自分で決められるが、ケアプランの作成への参加や治療方針への合意などには支援が必要な状態です※3。

あてはめの例

例① 認定を受けていない場合

「2」が2つで該当

父が脳梗塞の後遺症で、歩くときは手すりにつかまる必要があり((2)が「2」)、着替えにも一部手伝いが要る((6)が「2」)。この状態が続く見込みであれば、要介護認定の結果を待たずに【1】にあてはまります。

例② 要介護1の場合

「3」が1つで該当

母は要介護1の認定だが、物忘れが進み、火の消し忘れなどで周囲の対応がほとんど毎日必要になっている((10)が「3」)。要介護2未満でも、【1】にあてはまります。

判断基準には、この基準に厳密に従うことにとらわれて介護休業の取得が制限されてしまわないように、事業主は柔軟に運用することが望まれると書かれています※3。表は休業を断るための線ではなく、迷ったときの目安として使うものです。要介護認定の申請から結果が出るまでの流れは要介護認定の流れ|申請から利用開始まで約30日・6ステップにまとめています。

2025年4月の見直しで変わったこと

オフィスで書類を確認する女性のイメージ

判断基準は、2025年4月1日から新しいものが適用されています※3。障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合も含むことが明記され、項目の表現もそれに合わせて改められました。見直し前の基準※4と比べた主な変更点は次のとおりです。

見直し前 2025年4月以降
対象の書き方 記載なし 障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む(乳幼児の通常の成育過程を除く)
(8)の項目 外出すると戻れない 外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある
(10)の項目 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある 物忘れなど、日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題がある
(11)の項目 薬の内服 医薬品又は医療機器の使用・管理
「見守り等」の説明 認知症高齢者等の場合の「確認」「指示」「声かけ」 認知症高齢者、障害児・者の場合の「確認」「指示」「声かけ」

一方で、「要介護2以上」または「2が2つ以上・3が1つ以上」という該当の線は変わっていません。新たに、(8)の「危険回避ができない」は危険の認識に欠けることがある障害児・者が自分で危険を避けられず見守り等を要する状態、(10)の「認知・行動上の課題」は急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者が周囲のサポートなしでは日常生活に支障を来す状況、という説明が加わりました※3。社内の案内資料に古い表を載せている場合は、差し替えておきます。

要件はこれまでに広がってきた:2017年1月に、対象家族の「同居・扶養」の要件がなくなり、3回までの分割取得ができるようになりました。2022年4月には、有期雇用の人の「引き続き1年以上」の要件がなくなりました。そして2025年4月に判断基準が見直されています。2025年4月には、介護に直面した従業員への個別の周知・意向確認なども義務になりました。改正全体への対応は育児・介護休業法改正|介護分野の実務対応チェックリストをご覧ください。

証明書類|求めることはできるが、提出を条件にはできない

会社は、対象家族が要介護状態にあることなどを証明する書類の提出を求めることができます。ただし、提出を制度利用の条件とすることはできません※1。厚生労働省は、次の3点を明らかにしています※2。

  • 証明書類は医師の診断書に限られない。要介護状態にある事実を証明できるもので、労働者が提出できるものとする
  • 就業規則で、診断書の添付を義務づけることはできない。介護休業や、介護のための両立支援制度の申出も同じです
  • 証明書類が出されないことを理由に、休業させないことはできない

書類の例として挙げられているのは、介護保険の要介護認定の結果通知書、医師の診断書、障害支援区分認定通知書、障害児通所給付費支給決定通知書などです※1。

実務の工夫:診断書を取りに行く手間と費用を従業員にかけないために、判断基準の12項目に本人が○をつけて出す「申告」の形で受け付ける方法があります。要介護2以上の認定を受けている場合は、結果通知書の写しで足ります。申出書を受け取ってから通知するまでの流れは受け取ってから通知までの会社の対応フローにまとめています。

判断に迷いやすい6つの場面

テーブルをはさんで話し合う2人の女性のイメージ

人事担当者が判断に迷いやすい場面と、考え方の目安です※1※2※3。

1

要介護認定をまだ申請していない・結果待ち

認定を待つ必要はありません。12項目の表であてはめ、【1】に該当すれば対象です。休業期間中に認定の申請を進めるのは、介護休業の使い方として自然な形です。

2

要介護1や要支援の認定が出ている

「要介護2未満だから対象外」とはなりません。認知症による見守りや声かけが必要な場合など、12項目で該当することがあります。

3

家族が入院している

入院していることだけで対象外にはなりません。労働者本人が、歩行、排泄、食事、入浴など日常生活に必要な世話をする必要があるかで判断します。介護休業は「介護に専念するため」ではなく、介護の体制を整えるための休業と位置づけられています。

4

遠方に住む親の介護

同居していなくても対象家族です。現地で要介護認定の申請、ケアマネジャーとの打合せ、介護サービスの手配をするための休業も、介護の体制づくりにあたります。

5

ほかに介護できる家族がいる

配偶者やきょうだいが介護できるかどうかは、要件に入っていません。労使協定で除ける人は前述の3つに限られ、「ほかに介護できる家族がいる人」を除くことはできません。

6

障害のある子や、医療的ケアが必要な子の支援

2025年4月からの判断基準で、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含むことが明記されました。乳幼児の通常の成育過程で必要な世話は含みませんが、子の年齢だけで対象外とはせず、12項目であてはめます。

要件の確認で休業を止めないために|会社の実務

要件の確認は必要ですが、確認に時間をかけて休業の開始が遅れると、従業員は介護の体制を整える時間を失います。次の4点を整えておくと、申出を受けたときに迷いません。

  • 就業規則の要件が、法律より狭くなっていないか。「同居・扶養」の条件、労使協定のない「入社1年未満は対象外」、診断書の添付義務が残っていれば見直します。点検の手順は就業規則の介護休業規定|規定例と労使協定のチェックにあります
  • 12項目の表を、社内の案内に載せておく。従業員が自分で当てはめられれば、「認定が出ないと休めない」という思い込みを防げます
  • 同じ定義を、ほかの制度にも使う。介護休暇、残業の免除(所定外労働の制限)、短時間勤務などの制度も、同じ「要介護状態」「対象家族」の定義で判断します。制度の全体は仕事と介護の両立支援制度の一覧|法定7制度と事業主の義務をご覧ください
  • 迷ったら、取得を認める方向で判断する。判断基準そのものが柔軟な運用を求めています。休業を認めたうえで、給付金の要件は別に確認します

介護休業と介護休暇の使い分けは介護休暇と介護休業の違い【比較表】給与・給付金・日数で、給付金の手続きは介護休業給付金の必要書類と支給申請書の記入例|会社の実務で解説しています。

よくあるご質問

介護休業を取るのに、要介護認定は必要ですか?

必要ありません。介護休業の対象となる「要介護状態」は、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことで、要介護認定を受けていることは要件ではありません。要介護2以上の認定があれば該当しますが、認定がない場合や申請中の場合も、判断基準の12項目で「2」が2つ以上または「3」が1つ以上あり、その状態が続くと認められれば該当します。

要介護1や要支援の家族でも、介護休業の対象になりますか?

なり得ます。要介護1や要支援の場合は、要介護2以上という入口にはあたりませんが、判断基準の12項目のうち「2」の状態が2つ以上、または「3」の状態が1つ以上あり、その状態が続くと認められれば、常時介護を必要とする状態に該当します。たとえば、物忘れのために周囲の対応がほとんど毎日必要な場合は、それだけで「3」が1つになります。

別居している親や、遠方に住む祖父母も対象家族になりますか?

なります。対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫で、同居の有無は問いません。2017年1月の改正で、祖父母・兄弟姉妹・孫についての「同居し、かつ扶養している」という要件もなくなりました。介護休業は介護の体制を整えるための休業なので、遠方に住む家族の介護サービスの手配のためにも取得できます。

入院中の家族のために、介護休業を取ることはできますか?

入院していることだけで対象外にはなりません。労働者本人が、歩行、排泄、食事、入浴など日常生活に必要な世話をする必要があるかどうかで判断します。介護休業は、要介護状態にある家族の介護の体制を整えるための休業と位置づけられており、退院後の介護サービスの手配などのために取得する場面もあります。厚生労働省は、個々の事情にあわせて柔軟に判断することが望ましいとしています。

会社は、介護休業の申出に医師の診断書を義務づけられますか?

義務づけることはできません。会社は、対象家族が要介護状態にあることを証明する書類の提出を求めることはできますが、証明書類は医師の診断書に限られず、労働者が提出できるもので足ります。就業規則で診断書の添付を義務づけることはできず、証明書類が出されないことを理由に休業させないこともできません。

契約社員やパートタイマーも、介護休業を取れますか?

取れます。期間を定めて雇用される人は、申出の時点で、休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約が満了し更新されないことが明らかでなければ対象です。労使協定を結んでいる場合に限り、入社1年未満の人、申出から93日以内に雇用関係が終わることが明らかな人、週の所定労働日数が2日以下の人を対象から除くことができます。

出典

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて作成しています。あてはめの例は説明のための例であり、個別の判断を示すものではありません。労使協定や就業規則の定めによって取扱いが変わる場合があります。個別の適用については、必ず所轄の労働局または社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

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