制度・実務

介護休業給付金の必要書類と支給申請書の記入例|会社の実務

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

介護休業給付金の申請書類に記入するイメージ

「介護休業は無給だから」という理由で退職を選んでしまう従業員は少なくありません。実際には雇用保険から介護休業給付金が支給され、その額は原則として休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%です※1。そしてこの支給申請の手続きは、事業主が行うこととされています※1。つまり人事担当者の業務です。本記事では、支給要件から計算方法、必要書類と添付書類、支給申請書の記入、申請期限までを実務の流れに沿って整理します。

誰が対象になるか|支給対象者の要件

介護休業給付金の支給対象となるのは、対象家族を介護するための休業をした雇用保険の被保険者(一般被保険者および高年齢被保険者)で、次の要件を満たす方です※1

  • 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること
  • 11日以上の月が12か月ない場合は、完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定します(令和2年8月1日以降に介護休業を開始した方)

介護休業を開始する時点で、休業終了後に離職することが予定されている方は支給の対象となりません※1。「休業して様子を見て、無理そうなら辞める」という前提で申し出た場合、給付金を受けられない可能性があります。
面談の場では、会社として復職を前提に支援する姿勢を明確に伝えてください。本人が退職を織り込んで話しているときこそ、この給付金の存在が判断を変える材料になります。

有期雇用(期間雇用者)の場合

上記に加えて、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約(更新される場合は更新後のもの)が満了することが明らかでないことが必要です※1

支給対象となる介護休業

給付の対象となるのは、次の①②をいずれも満たす介護休業です。同じ家族について93日を限度に3回まで支給されます※1

1

要介護状態にある対象家族の介護のための休業であること

要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態をいいます。
対象家族は、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む)、父母(養父母を含む)、子(養子を含む)、配偶者の父母(養父母を含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫に限られます。

2

期間の初日と末日を明らかにして事業主に申し出た休業であること

被保険者がその期間の初日および末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行い、これによって実際に取得した休業であることが必要です。口頭のやり取りだけで休みに入った場合、要件を満たさないおそれがあります。申出書の様式を用意しておいてください。

「要介護状態」は介護保険の要介護度とは別の基準です。介護保険で要介護認定を受けていなくても、上記の状態にあれば対象になり得ます。逆に要介護認定が出ていることが自動的に要件を満たすわけでもありません。従業員から「まだ認定が下りていないので休めませんよね」と聞かれることがありますが、認定を待つ必要はありません

支給額の計算|67%と上限・下限

介護休業給付金は、介護休業開始日から起算した1か月ごとの期間(支給単位期間)ごとに計算されます。一回の介護休業について給付の対象となる期間は最長3か月、つまり最大3支給単位期間です※1

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

  • 支給日数は原則30日。休業終了日の属する支給対象期間については、当該支給対象期間の日数です
  • 賃金日額は、原則として介護休業開始前6か月間の賃金を180で除した額です。事業主が提出する「休業開始時賃金月額証明書」にもとづいて算定されます

上限額と下限額

賃金日額に支給日数30を乗じて算定した「賃金月額」が546,600円を超える場合、賃金月額は546,600円となります。これに伴い、1支給対象期間あたりの介護休業給付金の上限額は366,222円です。また賃金月額が96,090円を下回る場合は96,090円となります※1

この上限額・下限額は令和9年7月31日までの額です※1。毎年8月1日に改定されるため、従業員への説明資料に金額を載せている場合は年1回の見直しが必要です。社内イントラや配布物に古い金額が残っていると、誤った案内につながります。

支給されない4つのケース

要件を満たしていても支給されない、あるいは減額されるケースがあります※1

ケース 1

就業日が11日以上ある

一つの支給単位期間中に、就業していると認められる日(全日休業している日以外の日)が10日以下でなければ、その支給単位期間は支給対象になりません。日曜日や祝日など会社の休日も「全日休業している日」に含めて数えます。

ケース 2

賃金を80%以上支払った

支給対象期間中に支払われた賃金の額に応じて調整されます。休業開始時賃金日額×支給日数の13%以下なら67%相当額を支給、13%超80%未満なら賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給、80%以上なら支給されません。

ケース 3

支給単位期間の途中で離職した

その支給単位期間は支給を受けることができません。復職に至らなかった場合、最後の期間分が対象外になります。

ケース 4

最後の1か月未満の期間の要件

介護休業終了日の属する1か月未満の支給単位期間については、就業日が10日以下であることに加えて、全日休業している日が1日以上あることが必要です。

ケース2は制度設計に直結します。「介護休業中も給与の一部を支払う」という法定外の制度を設ける企業がありますが、支払額によっては給付金が減額され、従業員の手取り総額があまり変わらないことがあります。有給の上乗せを検討する際は、必ず給付金との調整を踏まえて水準を決めてください。

申請の流れと期限

1

従業員から介護休業の申出を受ける

期間の初日と末日を明らかにした申出書を受け取ります。あわせて、2025年4月改正で義務化された個別の周知・意向確認を実施します。周知すべき事項には介護休業給付金に関することが含まれています

2

事業主が「休業開始時賃金月額証明書」を提出する

雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書を、支給申請書を提出する日までに提出します。事業主を経由して支給申請書を提出する場合は、支給申請書と同時に提出することもできます※1

3

介護休業終了後、支給申請書を提出する

この手続きは事業主が行います※1。提出先は事業所の所在地を管轄するハローワークです。

4

期限を厳守する

提出は各介護休業の終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までです※1。たとえば介護休業の終了日が7月25日であれば、7月26日から9月30日までが提出期間にあたります※1

介護休業期間が3か月以上にわたるときは、起算日が変わります。この場合は終了日ではなく介護休業開始年月日から3か月を経過する日の翌日から起算します※1。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで取得できるため、1回の休業を3か月を超えて取る従業員がいる場合は、休業がまだ続いているうちに申請時期が来ます

必要書類と添付書類|誰が何を用意するか

事業主がハローワークへ提出するのは2種類の書類で、それぞれに添付書類が必要です※1。提出先はいずれも事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)で、電子申請にも対応しています※1

① 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

添付するのは、記載内容が確認できる書類(賃金台帳・出勤簿等)です※1

② 介護休業給付金支給申請書

申請書の下部には「払渡希望金融機関指定届」が付いています※1。マイナポータルに公金受取口座を登録している方は、その口座を指定することもできます(あらかじめハローワークに個人番号を届け出ておく必要があります)※1。添付書類は次の4点です※1

  • 被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
  • 介護対象家族の氏名・被保険者本人との続柄・性別・生年月日等が確認できる書類(住民票記載事項証明書等
  • 介護休業の開始日・終了日と、休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類(出勤簿・タイムカード等)
  • 介護休業期間を対象として支払われた賃金が確認できる書類(賃金台帳等)

続柄を確認する書類は、省略できる場合があります。被保険者と介護対象家族が同一世帯にあり、申請時に双方のマイナンバーを届け出た場合は、続柄を確認できる書類の添付を省略できます※1。同居しているご家族の介護であれば、住民票の取り寄せが不要になるということです。

一方、別居している親の介護では、この省略が使えません。取り寄せに日数がかかることがあるため、介護休業の申出を受けた時点で案内しておくと、申請期限に追われずに済みます。介護で余裕がない時期に急かすことにもなりません。

本人が提出する場合は、添付するものが変わります。やむを得ない理由で事業主を経由して提出することが困難な場合や、被保険者本人が自ら申請手続を行うことを希望する場合は、本人が提出することもできます※1。その場合は、事業主が本人に交付する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」と「介護休業取扱通知書」に加えて、上記の添付書類のうち続柄が確認できる書類・出勤簿等・賃金台帳等を本人が添付します※1。会社がこの交付物を渡していないと、本人は申請できません。

支給申請の結果は「支給決定通知書」または「不支給決定通知書」で通知され、支給決定された場合は決定後およそ1週間後に、届け出た本人名義の口座へ振り込まれます※1

支給申請書の記入でつまずきやすい4つの欄

支給申請書は、支給対象期間の区切り方賃金額の数え方でつまずきます。いずれも暦月ではなく休業開始日を起算日にする点が共通の要点です。

1

支給対象期間(⑰⑳㉓欄)|休業開始日から1か月ごとに区切る

介護休業開始年月日から1か月ごとの期間を記載します※1。その1の初日は休業開始年月日、その2・その3の初日は翌月・翌々月の応当する日(休業開始年月日と日が同じ年月日)です。応当する日がその月にないときは、その月の末日になります※1。各期間の末日は、次の期間の初日の前日です※1

例1:5月7日から7月25日まで休業した場合※1
その1=5月7日〜6月6日/その2=6月7日〜7月6日/その3=7月7日〜7月25日

例2:5月31日から8月30日まで休業した場合※1
その1=5月31日〜6月29日/その2=6月30日〜7月30日/その3=7月31日〜8月30日(6月に31日がないため、その2の初日は6月30日になります)

2

支給日数(⑱㉑㉔欄)|休日も数に入れる

各支給対象期間のうち、全日にわたって介護休業をしている日の数を記載します。日曜日や祝日など、所定労働日以外の日も含みます※1。所定労働日だけを数えると、支給日数が過少になります。

3

支払われた賃金額(⑲㉒㉕欄)|支払日ではなく「何を対象とした賃金か」で判断する

各支給対象期間中の賃金支払日に支払われた賃金のうち、介護休業期間中を対象としていることが明確な額のみを記載します※1。一部分でも介護休業期間外を対象としている給与・手当や、対象期間が不明確な給与・手当は計上しません※1。臨時の賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金も除きます※1

賃金締切日・支払日と休業期間がずれる事業所ほど、判断が難しくなる欄です。給与担当者と組み合わせを確認してから記入してください。

4

被保険者氏名とマイナンバー

支給申請書には、被保険者本人と介護対象家族のマイナンバーを記載して提出します※1。被保険者氏名は本人が記載するのが原則ですが、申請内容等を事業主等が本人に確認し、合意のもと「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を作成・保存することで、氏名の記載を省略できます※1。休業中の従業員に何度も来社してもらわずに済む方法です。

3か月を経過する日の前日までに休業が終わったときは、㉖欄に終了年月日を記載します※1。職場復帰により終了した場合は職場復帰日の前日を㉖欄に、㉗欄に「1」を記載します。介護対象家族を介護しなくなったことにより終了した場合は、その休業事由が消滅した日を㉖欄に、㉗欄に「2」を記載します※1。なお、支給対象期間その1またはその2の末日に介護休業終了年月日を記載した場合は、その次以降の支給対象期間は記載しません※1

なお、育児休業と違い介護休業には社会保険料の免除がありません。給付金とあわせて収支を説明する必要があるため、介護休業中の社会保険料もご確認ください。

そのまま使える従業員への説明例

制度説明は、金額の話から入ると理解されやすくなります。

「介護休業を取った期間、会社からの給与は原則として出ません。ただし雇用保険から介護休業給付金が支給されます。金額はおおよそ休業前のお給料の67%です。

対象になるのは、雇用保険に加入していて、休業を始める前の2年間に、賃金の支払対象となる日が11日以上ある月が12か月以上ある方です。ほとんどの正社員の方は該当します。

日数はお一人のご家族につき通算93日まで、3回に分けて取ることができます。たとえば入院のとき、退院して体制を整えるとき、状態が変わったとき、という使い方ができます。

申請の手続きは会社が行います。ご用意いただきたいのは、ご家族との続柄がわかる住民票などの書類だけです。取り寄せにお時間がかかることがあるので、早めにご準備いただけると助かります。

ひとつだけお伝えしておくと、休業のあとに辞めることが決まっている場合は対象外になります。会社としては復帰していただく前提でご支援しますので、そのつもりでご相談ください。」

実務でつまずきやすい4点

  • 分割取得の申請漏れ。介護休業は3回まで分割できますが、給付金の申請は休業1回ごとです。2回目・3回目の申請を失念しやすいため、休業終了のたびに手続きが起動する運用にしてください
  • 上限額の更新漏れ。上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。説明資料に金額を載せている場合は年1回の見直しが必要です
  • 「無給だから」で説明を終える。会社から給与が出ないことだけを伝えると、従業員は退職を検討し始めます。給付金の存在は必ずセットで伝えてください。相談窓口で最も反応が大きい情報のひとつです
  • 要介護認定を待たせる。給付金の「要介護状態」は介護保険の要介護度とは別基準です。認定を待つ必要はありません

介護休業と介護休暇の使い分けは介護休暇と介護休業の違い【比較表】日数・給付金・申出方法で、規程面の整備は就業規則の介護休業規定の見直しで解説しています。企業側が使える助成金は両立支援等助成金「介護離職防止支援コース」をご覧ください。

よくあるご質問

介護休業給付金の申請は従業員本人が行うのですか?

支給申請の手続きは事業主が行うこととされています。事業主は、対象の従業員が介護休業を開始した場合、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書を提出する必要があります。事業主を経由して介護休業給付金支給申請書を提出する場合は、この証明書を支給申請書と同時に提出することもできます。

介護休業給付金の申請期限はいつまでですか?

各介護休業の終了日の翌日から起算して、2か月を経過する日の属する月の末日までです。たとえば終了日が7月25日であれば、7月26日から9月30日までが提出期間にあたります。ただし介護休業期間が3か月以上にわたるときは、終了日ではなく介護休業開始年月日から3か月を経過する日の翌日から起算します。介護休業は3回まで分割できますが、給付金の申請は休業1回ごとに行うため、休業終了のたびに手続きが起動する運用にしてください。

介護休業給付金の添付書類に戸籍謄本は必要ですか?

続柄を確認できる書類として、住民票記載事項証明書等の添付が必要とされています。ただし被保険者と介護対象家族が同一世帯にあり、申請時に双方のマイナンバーを届け出た場合は、続柄を確認できる書類の添付を省略できます。別居している家族の介護ではこの省略が使えないため、書類の取り寄せに日数がかかることを見込んで、介護休業の申出を受けた時点で案内しておくと安全です。提出書類の詳細は管轄のハローワークにご確認ください。

介護休業中に給与を支払うと給付金はどうなりますか?

支払った賃金の額に応じて調整されます。休業開始時賃金日額×支給日数の13%以下であれば賃金月額の67%相当額が支給され、13%を超えて80%未満の場合は賃金月額の80%相当額と賃金の差額が支給されます。80%以上を支払った場合は支給されません。給与を支払う制度を設ける際は、この調整の仕組みを踏まえて設計してください。

出典

※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて作成しています。支給額の上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます(本記事に記載した額は令和9年7月31日までのものです)。提出書類や個別の適用については、必ず事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)または社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

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