制度・実務

介護休業申出書の記入例|受理から通知までの会社の対応

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

テーブルの上で、紙に書き込む手元のイメージ

従業員から介護休業を申し出られたとき、会社がまず受け取るのが介護休業申出書です。法律は書面による申出を求めていますが、法定の様式はなく、会社が社内様式を用意します※1※2。本記事では、厚生労働省が示している様式例をもとに、記載項目、「介護を必要とする理由」の書き方、申出の期限と遅れたときの扱い、受け取ってから通知書を返すまでの流れを、人事担当者向けに整理します。

申出書は誰が用意するのか|法定様式はなく、社内様式でよい

介護休業は、労働者が休業を開始しようとする日の2週間前までに、事業主へ書面で申し出ることで始まります※1。この書面が介護休業申出書です。

結論から書くと、申出書に法定の様式はありません。自社の様式があればそれを使い、なければ厚生労働省が公開している「社内様式例」(介護休業申出書は社内様式6)を、自社の名称や提出先に合わせて整えれば足ります※2。従業員が書いて出す書類ですが、様式を用意し、置き場所と提出先を周知するのは会社の仕事です。

様式が無いことの影響:様式がないと、従業員は口頭で「休みたい」と伝えるしかなくなります。介護休業給付金は、期間の初日と末日を明らかにして事業主に申し出たことが要件のため、口頭のやり取りだけで休みに入ると、給付金の要件を満たさないおそれがあります。給付金の要件の面からも、様式は先に整えておいてください。

提出方法:メールやFAXも認められる

申出は書面で行うのが原則ですが、事業主が適当と認める場合は、FAXや電子メール等でも可能です。電子メール等には、社内のイントラネットやWebメール、SNSも含まれ、労働者と事業主が記録を出力して書面にできるものに限られます※3。提出先を様式に書いておくこと、メール等での提出を認める場合はその旨を書いておくことは、いずれも義務ではありませんが、従業員が迷わずに済みます※2。

申出書に書いてもらう項目|法令が求める6事項

申出に含める事項は、施行規則で次の6つと定められています※3。自社の様式が、この6つを漏れなく書ける形になっているかを確認します。

  • 申出の年月日
  • 労働者の氏名
  • 対象家族の氏名と、労働者との続柄
  • 対象家族が要介護状態にあること(様式例では「介護を必要とする理由」の欄)
  • 休業を開始しようとする日と、終了しようとする日
  • その対象家族について、これまでに取得した介護休業の日数

厚生労働省の様式例は、これを次の3つの欄にまとめています※2。

1

休業に係る家族の状況

氏名、本人との続柄、介護を必要とする理由。

2

休業の期間

「○年○月○日から○年○月○日まで」の形で、初日と末日を書きます。職場復帰予定日も併記する形です。

3

申出に係る状況

休業開始予定日の2週間前に申し出ているか(遅れた場合はその理由)、この家族についてこれまでに取得した介護休業の回数と日数、介護休業の申出を撤回したことがあるか(すでに2回連続で撤回している場合は、再度申し出る理由)。

古い様式を使っていないか:以前の様式例には、祖父母・兄弟姉妹・孫について「同居し、扶養しているか」を書く欄がありました。2017年1月の改正でこの要件がなくなったため、現在の様式例にはありません。数年前の様式をそのまま使っている場合は、見直しておきます。規程側の点検は就業規則の介護休業規定|規定例と労使協定のチェックをご覧ください。

「介護を必要とする理由」の記入例

ノートに書き込む手元のイメージ

この欄で求められるのは、対象家族が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にあることが分かる内容です※3。病名や検査結果の詳細まで書かせる必要はありません。介護保険の要介護認定を受けていなくても、申し出ることはできます。

介護休業は、介護そのものを担うためではなく介護の体制を整えるための休業です。理由の欄には、状況と、休業でやることを短く書いてもらうと、通知や給付金の手続きが進めやすくなります。

記入例① 退院に合わせる場合

父が入院し、退院後に常時の介護が必要になる

「父が脳梗塞で入院しており、退院後は常時の介護が必要になる見込みのため。退院までに、要介護認定の申請とケアマネジャーとの調整、住まいの環境整備を行う。」

記入例② 認知症が進んだ場合

母の認知症が進み、見守りと介助が必要になった

「母の認知症が進み、日常生活のほとんどの場面で見守りと介助が必要な状態になったため。介護サービスを利用する体制を整える。」

記入例③ 骨折した場合

義母が骨折し、手術後は常時の介助が必要になる

「義母が転倒して大腿骨を骨折し、手術後は歩行や入浴などで常時の介助が必要になるため。退院後の在宅介護の体制を整える。」

記入例④ 施設を探す場合

在宅での介護が難しくなり、施設を探す

「父の状態が悪化し、在宅での介護が難しくなったため。介護施設の見学と入居の手続きを進める。」

休業の期間と、過去の取得欄の書き方

休業の期間は、「何日休みたいか」ではなく初日と末日の日付で書いてもらいます。末日の翌日が職場復帰予定日です。過去の取得欄は、初めてなら「0回・0日」、2回目の申出で前回が31日なら「1回・31日」のように、会社の記録と一致させます。

期間の記入例:「2026年10月15日から2026年11月14日まで(職場復帰予定日:2026年11月15日)」。同じ家族について取得できるのは通算93日、3回までです。日数の上限は介護休暇と介護休業の違い【比較表】給与・給付金・日数にまとめています。

申出の期限と、遅れたとき・変更したときの扱い

期限に遅れた場合や、期間を変えたい・やめたいという申出は、申出書を受け取ったあとによく起きる場面です。ルールは次のとおりです※3。

1

申出の期限は、休業を開始しようとする日の2週間前まで

希望どおりの日から休業するためには、この期限までに申し出る必要があります。

2

遅れたときは、会社が開始日を指定できる

休業を開始しようとする日が、申出の日の翌日から起算して2週間を経過する日より前のときは、本人が開始しようとする日から2週間経過日までの間のいずれかの日を、会社が開始日として指定できます。指定は、原則として申出の日の翌日から起算して3日を経過する日までに、指定する日を書いた書面を交付して行います。たとえば10月2日に申出があれば、10月5日までです。

3

終了日を延ばしたいときは、終了予定日の2週間前まで

労働者は、1回の申出ごとに1回に限り、終了予定日を繰り下げて期間を延ばせます。当初の終了予定日の2週間前までに、変更の申出が必要です。開始日の繰上げ・繰下げは、労働者の申出だけでは変更できず、労使の協議で決めます。

4

撤回は、休業開始の前日まで

開始の前日までであれば、申出を撤回できます。ただし同じ対象家族について2回連続で撤回した場合、それ以降の申出は会社が拒めることになっています。1回目を撤回しても、2回目の申出で休業を取得すれば、3回目の申出は拒めません。

契約社員などの有期雇用者:契約期間の末日まで休業したあと、契約更新に伴って更新後の初日から再び休業を申し出る場合は、2週間前までに申出がなくても、会社は開始日を指定できません。この再度の申出で必要な事項は、申出年月日、氏名、休業の期間の3つだけです。

受け取ってから通知まで|会社の対応フロー

デスク越しに、書類を受け渡すイメージ

申出書を受け取ったら、会社は速やかに通知しなければなりません。流れは次の5つです※2※3。

1

記載を確認する

6事項がそろっているか、期間が日付で書かれているか、休業開始予定日の2週間前までの申出かを見ます。不足があれば、その場で補ってもらいます。

2

対象かどうかを確認する

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。労使協定を結んでいる場合に限り、入社1年未満、申出から93日以内に雇用が終わることが明らか、週の所定労働日数が2日以下の人は対象から除けます。

3

通算日数と回数を確認する

同じ家族について通算93日、3回までです。会社の記録から残りの回数と日数を数え、通知書に書きます。

4

通知書を渡す

「申出を受けた旨」「開始予定日と終了予定日(会社が指定したときは指定日)」「拒む場合はその旨と理由」を、原則として書面で速やかに通知します。速やかにとは、原則として申出からおおむね1週間以内です。申出から開始予定日までが1週間に満たないときは、開始予定日までに通知します。労働者が希望すれば、FAXや電子メール等でも構いません。

5

給付金の手続きにつなぐ

休業に入るまでに、介護休業給付金の手続きを本人に案内します。会社が行う支給申請の流れは介護休業給付金の申請の流れと期限にまとめています。

通知書で義務になる部分:様式例の休業取扱通知書(社内様式2)には、休業の期間のほか、休業中の給与や社会保険料の支払い方法、復帰後の労働条件も書けます。様式例の注では、休業の期間等に関する項目(申出を受けた旨、開始・終了の日、拒む場合の理由など)は事業主の義務、それ以外は努力義務とされています。義務の部分は落とさず、休業中の給与や社会保険料の扱いも、従業員が知りたい情報として添えるのが実務的です。

診断書などの提出を求めてよいか

会社は、対象家族が要介護状態にあることを証明する書類の提出を求めることができます。介護保険の要介護認定の結果通知書、医師の診断書、障害支援区分認定通知書などが例に挙げられています※2。

ただし、提出を制度の利用条件とすることはできません※3。書類が手元にない、取り寄せに時間がかかるという理由で、休業の開始を遅らせたり、申出を断ったりすると、法の趣旨に反します。

実務の目安:書類の提出は「あれば出してください」というお願いの形にとどめ、提出が遅れても休業は認めます。介護休業給付金の申請では、対象家族の氏名と続柄を確認できる書類(住民票記載事項証明書など)が別に必要です。この書類は給付金の手続きのためのもので、休業の申出とは切り分けて案内します。詳しくは必要書類と添付書類をご覧ください。

そのまま使える従業員への案内文

申出書の提出先と書き方を伝える案内文の例です。イントラネットやメールに、自社の様式の置き場所を入れてお使いください。

「介護休業を希望される場合は、休みを始めたい日の2週間前までに『介護休業申出書』を提出してください。様式は○○(置き場所)にあります。書いていただくのは、ご家族のお名前と続柄、介護が必要な理由、休みたい期間(最初の日と最後の日)です。理由は、状況と休業でやることを短く書いていただければ十分です。

診断書などの提出は必須ではありませんが、お手元にあれば添えていただけると手続きがスムーズです。書類を受け取ったら、開始日と終了日を記した通知書をお渡しします。給付金の手続きについても、あわせてご案内します。2週間前を過ぎてしまった場合は、開始日を調整させていただくことがありますので、早めにご相談ください。」

実務でつまずきやすい4点

  • 期間が「日数」で書かれている。「1か月休みたい」では初日と末日が決まりません。日付で書いてもらい、末日の翌日を復帰予定日として確認します
  • 通算日数の管理が抜ける。分割して取得されると、回数と残日数が分からなくなります。通知書のたびに残りの回数と日数を書く運用にしておきます
  • 通知書を出さない。申出書を受け取ったまま返事をしないと、従業員は休業できるのか分からないまま日を過ごします。通知は事業主の義務です
  • 給付金の手続きにつなぎ忘れる。申出書の受付を「休業を認める」で終えると、給付金の案内が抜けやすくなります。受け付けた時点で、給付金の案内を一緒に渡す運用にします

介護休業と介護休暇の使い分けは介護休暇と介護休業の違い【比較表】給与・給付金・日数で、給付金の実務は介護休業給付金の必要書類と支給申請書の記入例|会社の実務で、2025年4月の改正への対応は育児・介護休業法改正|介護分野の実務対応チェックリストで解説しています。

よくあるご質問

介護休業申出書に決まった様式はありますか?

法定の様式はありません。自社の様式があればそれを使い、なければ厚生労働省が公開している社内様式例(介護休業申出書は社内様式6)を、自社の名称や提出先に合わせて整えて使えます。従業員が書いて提出する書類ですが、様式を用意して置き場所を周知するのは会社の役割です。

介護休業の申出は、口頭やメールでも受け付けてよいですか?

申出は書面で行うのが原則です。事業主が適当と認める場合は、FAXや電子メール等(社内のイントラネットやWebメール、SNSを含む)でも可能ですが、労働者と事業主が記録を出力して書面にできるものに限られます。口頭だけでは、介護休業給付金の要件である「期間の初日と末日を明らかにした申出」も満たしにくくなるため、書面か記録の残る方法で受け付けます。

診断書や要介護認定の通知書がないと、介護休業を断れますか?

断れません。会社は、対象家族が要介護状態にあることを証明する書類(介護保険の要介護認定の結果通知書、医師の診断書など)の提出を求めることはできますが、提出を制度利用の条件とすることはできません。提出が遅れていることを理由に、休業の開始を遅らせたり、申出を拒んだりしないようにします。

介護休業の申出が、休業開始の2週間前より遅れたらどうなりますか?

希望どおりの日から休業できるとは限りません。休業を開始しようとする日が、申出の日の翌日から起算して2週間を経過する日より前のときは、会社は、本人が休業を開始しようとする日から2週間経過日までの間のいずれかの日を開始日として指定できます。指定は、原則として申出の日の翌日から起算して3日を経過する日までに、指定する日を書いた書面を交付して行います。

介護休業申出書の「介護を必要とする理由」には何を書けばよいですか?

対象家族が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にあることが分かる内容で足ります。たとえば「父が脳梗塞で入院しており、退院後は常時の介護が必要になる見込みのため。退院までに要介護認定の申請とケアマネジャーとの調整を行う」のように、状況と休業の目的を短く書いてもらいます。病名や検査結果の詳細まで書かせる必要はありません。

出典

※本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成しています。記入例は説明のための例であり、実際の申出内容を示すものではありません。労使協定や就業規則の定めによって取扱いが変わる場合があります。個別の適用については、必ず所轄の労働局または社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

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