育児・介護休業法とは|2025年改正のポイントと会社の義務
監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.
育児・介護休業法は、子育てや家族の介護をしながら働く人が仕事を続けられるように、休業・休暇・働き方の制度を定め、会社にそれを使えるようにする義務を課している法律です※1。2024年に成立した改正法が2025年4月と10月の2回に分けて施行され、育児と介護の両方で会社のすべきことが増えました※3。この記事では、育児と介護で使える制度を1つの表にまとめたうえで、2025年の改正のポイント、対象になる人、会社が守ることを、人事担当者向けに整理します。
育児・介護休業法とは|仕事と育児・介護の両立を支える法律
正式な名前は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」です。1991年に育児休業法として制定され、1992年4月に施行されました※3。いまは育児と介護の両方について、次の3種類のことを定めています。
- 従業員が申し出て使える制度:育児休業・介護休業、子の看護等休暇・介護休暇、残業の免除や時間外労働・深夜業の制限など
- 会社が用意する措置:短時間勤務、柔軟な働き方の措置、制度の個別の周知と意向の確認、介護の雇用環境の整備など
- 会社が守ること:制度の利用を理由にした不利益な取扱いの禁止と、ハラスメントの防止
法律で決まっているのは最低限の内容で、会社がこれより手厚い制度にすることは望ましいとされています※2。
制度の一覧|育児と介護で使える休業・休暇・働き方
育児と介護で使える主な制度を、並べて比べられるようにまとめました※2※3。
| 制度 | 育児 | 介護 |
|---|---|---|
| 休業 | 育児休業:原則として子が1歳になるまで(保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで)。子1人につき原則2回まで 産後パパ育休:子の出生後8週間以内に、通算4週間(28日)まで。2回まで |
介護休業:要介護状態の家族1人につき、通算93日まで。3回まで |
| 休暇 | 子の看護等休暇:小学3年生の修了まで。年5日(子が2人以上は10日)。時間単位でも取れる | 介護休暇:年5日(対象家族が2人以上は10日)。時間単位でも取れる |
| 残業の免除 | 小学校入学前の子を育てる人(2025年4月から) | 要介護状態の家族を介護する人 |
| 時間外労働の制限 | 小学校入学前の子を育てる人。月24時間・年150時間まで | 要介護状態の家族を介護する人。月24時間・年150時間まで |
| 深夜業の制限 | 小学校入学前の子を育てる人 | 要介護状態の家族を介護する人 |
| 短時間勤務 | 3歳までの子を育てる人。1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む | 短時間勤務などの措置。利用を始めてから3年以上の間に2回以上使える |
| 柔軟な働き方 | 3歳から小学校入学前の子を育てる人に、5つの措置から2つ以上(2025年10月から) | テレワークを選べるようにすることが努力義務(2025年4月から) |
| 個別の周知・意向確認 | 妊娠・出産の申出のときと、子が3歳になる前 | 介護に直面した申出のときと、40歳になったときの情報提供 |
介護の制度の細かい条件は、介護休業とは|93日・3回の取り方と条件、給付金・手続き、介護休暇とは|取得条件と日数(年5日)、有給か無給か、介護の短時間勤務(時短勤務)|3年で2回・給与・4つの選択肢で解説しています。
2025年の改正のポイント|4月と10月の2段階
2024年に改正された法律が、2025年4月1日と10月1日の2回に分けて施行されました※3。
2025年4月1日から
- 子の看護等休暇の見直し:対象を小学3年生の修了までに広げ、感染症による学級閉鎖や入園(入学)式・卒園式でも取れるように。入社6か月未満の人を労使協定で外す仕組みは廃止
- 残業の免除の拡大:3歳未満から、小学校入学前の子を育てる人に
- 短時間勤務の代わりの措置:3歳未満の子の短時間勤務が難しい場合の代わりの措置に、テレワークを追加
- 育児休業の取得状況の公表:男性の育児休業等の取得状況の公表義務を、従業員1,001人以上から301人以上の会社に拡大
- 介護離職の防止:介護に直面した従業員への個別の周知・意向確認、40歳での情報提供、雇用環境の整備(研修・相談窓口など4つから1つ以上)が義務に
- 介護休暇:入社6か月未満の人を労使協定で外す仕組みを廃止
- テレワーク:3歳未満の子を育てる人と、家族を介護する人がテレワークを選べるようにすることが努力義務に
2025年10月1日から
- 柔軟な働き方の措置:3歳から小学校入学前の子を育てる人に、始業時刻の変更、テレワーク(月10日以上)、保育施設の設置運営など、養育両立支援休暇(年10日以上)、短時間勤務の5つから2つ以上を用意し、子が3歳になる前に個別に知らせて意向を確かめる
- 個別の意向聴取と配慮:妊娠・出産の申出のときと、子が3歳になる前に、勤務時間や働く場所などの希望を個別に聞き、その希望に配慮する
介護分野の3つの義務の具体的な進め方は育児・介護休業法改正|介護分野の実務対応チェックリスト、雇用環境の整備の選び方は介護離職防止のための雇用環境整備|4つの措置の選び方、40歳での情報提供は40歳到達時の介護情報提供義務とは?何を・いつ・どう配ればよいかにまとめています。
誰が使えるか|正社員・パート・有期雇用
日々雇用される人を除き、正社員だけでなく、パートや契約社員も対象です。期間を定めて雇われている人は、契約がいつ終わるかによって条件があります※2。
- 育児休業:子が1歳6か月(2歳までの休業なら2歳)になる日までに、契約が終わって更新されないことが明らかでないこと
- 介護休業:取得予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、契約が終わって更新されないことが明らかでないこと
また、労使協定を結べば、入社1年未満の人、近いうちに雇用が終わることが明らかな人、週の所定労働日数が2日以下の人などを、育児休業や介護休業の対象から外せます※2。外すかどうかは、就業規則と労使協定で決めておきます。
会社が守ること|就業規則・不利益取扱いの禁止・ハラスメント防止
- 就業規則に定める:休業や休暇は就業規則に必ず書く事項です。改正のたびに見直しが要ります
- 不利益な取扱いをしない:制度の申出や利用を理由に、解雇・降格・減給・不利益な配置転換などをしてはいけません
- ハラスメントを防ぐ:制度の利用に関する上司や同僚の言動で職場の環境が害されないよう、方針を示し、相談に応じる体制を整え、起きたときに対応する措置が必要です
- 個別に知らせて、意向を確かめる:妊娠・出産や介護の申出があったとき、子が3歳になる前、従業員が40歳になったときなど、決まった時期に制度を個別に知らせます
就業規則の書き方は就業規則の介護休業規定|規定例と労使協定のチェック、介護に関するハラスメントはケアハラ(ケアハラスメント)とは|言動の具体例と防止措置4つで詳しく解説しています。
守らないとどうなるか|助言・指導・勧告と公表
会社が法律を守っていないとき、厚生労働大臣(実際の窓口は都道府県労働局)は、報告を求めたり、助言・指導・勧告をしたりできます。勧告に従わないと、会社の名前が公表されることがあります。また、報告を求められたのに報告しない、または偽りの報告をした場合は、20万円以下の過料の対象です※4。
休業を認めなかったこと自体に罰金が科される仕組みではありませんが、公表されれば採用や取引先からの評価に響きます。改正のたびに、就業規則と実際の運用の両方を見直しておくことが大切です。
よくあるご質問
育児・介護休業法とは、どのような法律ですか?
子育てや家族の介護をしながら働く人が仕事を続けられるよう、育児休業・介護休業などの休業、子の看護等休暇・介護休暇、残業の免除や短時間勤務などの制度を定め、会社にそれを使えるようにする義務を課している法律です。1991年に育児休業法として制定され、いまは育児と介護の両方を定めています。
労働基準法と育児・介護休業法の違いは何ですか?
労働基準法は、労働時間や賃金、産前産後休業など、労働条件の最低基準を定める法律です。育児・介護休業法は、育児や介護と仕事を両立するための休業・休暇・働き方の制度と、会社がとるべき措置を定めています。産前産後休業は労働基準法、育児休業や介護休業は育児・介護休業法で定められています。
育児休業と介護休業の違いは何ですか?
育児休業は、原則として子が1歳になるまで(事情があれば最長2歳まで)取れる休業で、子1人につき原則2回まで分けて取れます。介護休業は、要介護状態の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる休業です。介護休業は、自分で介護をするためというより、介護の体制を整えるための期間です。
2025年の改正で、会社が対応しなければならないことは何ですか?
2025年4月から、子の看護等休暇と残業の免除の対象の拡大、介護に直面した従業員への個別の周知・意向確認、40歳での情報提供、介護の雇用環境の整備などが、10月からは、3歳から小学校入学前の子を育てる人のための柔軟な働き方の措置(5つから2つ以上)と、個別の意向聴取・配慮が加わりました。あわせて就業規則の見直しが必要です。
パートや契約社員も、育児・介護休業法の対象ですか?
日々雇用される人を除き、パートや契約社員も対象です。期間を定めて雇われている人は、育児休業なら子が1歳6か月になる日までに、介護休業なら取得予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、契約が終わることが明らかでなければ取れます。労使協定で、入社1年未満の人などを対象から外せる制度もあります。
出典
- ※1 厚生労働省「育児・介護休業法について」
- ※2 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(育児・介護休業法における制度の概要)
- ※3 厚生労働省「育児・介護休業法 2024年(令和6年)改正内容の解説」
- ※4 e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(第56条、第56条の2、第66条)
※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて作成しています。法律や指針は改正されることがあります。最新の内容は、厚生労働省や都道府県労働局でご確認ください。
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