法改正対応

40歳到達時の介護情報提供義務とは?何を・いつ・どう配ればよいか

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

従業員へ配布する介護に関する基本情報ガイドのイメージ

2025年4月1日施行の育児・介護休業法改正により、40歳に達する従業員への介護に関する情報提供が事業主の義務となりました。「何を配ればよいのか」「いつ配るのか」「誰が対象なのか」が分かりにくい制度でもあります。本記事では、実務担当者が迷いやすいポイントを整理し、そのまま使える運用フローまでご紹介します。

なぜ40歳なのか|制度の背景

40歳は、介護保険料の負担が始まる年齢です。介護保険の第2号被保険者となるこのタイミングは、多くの従業員にとって「介護」を初めて自分事として意識する機会になります。

介護は育児と異なり突発的に発生することが多く、脳卒中や転倒による骨折、認知症の進行など、予兆なく始まるケースがあります。直面してから制度を調べる余裕はないというのが実情です。

制度の狙い:介護に直面する前から仕事と介護の両立に役立つ情報や制度を知っていただき、将来の選択肢を広げることで、安心して働き続けられる環境づくりを目指すものです。単なる書類配布ではなく、離職防止策として位置づけられています。

何を提供するのか|3つの必須項目

厚生労働省が示す提供すべき情報は、次の3点です。

1

介護休業制度の内容

対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できる制度です。要介護状態にある対象家族を介護するための休業であることを説明します。

2

介護休業・両立支援制度の申出先

「誰に」「どこへ」申し出ればよいのかを明示します。部署名だけでなく、担当窓口やメールアドレスまで具体的に示すことが望まれます。

3

介護休業給付金に関すること

一定の要件を満たす場合、雇用保険から賃金の約67%が支給されます。「無給になる」と誤解して制度利用をためらう従業員が多いため、特に重要な情報です。

実務のポイント:必須の3項目だけでは、従業員にとって行動につながりにくいのが実情です。あわせて「地域包括支援センターへの相談方法」「要介護認定の申請の流れ」を添えると、実際に介護が始まったときの初動が大きく変わります。

いつ提供するのか|対象となる期間

提供のタイミングは、次のいずれかの期間です。

  • 労働者が40歳に達する日の属する年度
  • 労働者が40歳に達する日の翌日から1年間

「年度」で区切る運用が認められているため、該当年度の従業員をまとめて抽出し、年1回一斉に実施する方法が最も効率的です。個別に誕生日を追う必要はありません。

どう提供するのか|認められる方法

提供方法は、面談・書面の交付・FAX・電子メール等のいずれかによります。面談はオンラインでも差し支えありません。

方法 1

ガイドブックの配布

紙またはPDFで冊子を配布する方法です。手元に残るため、実際に介護が始まったときに参照されやすいのが利点です。

方法 2

電子メールでの送付

対象者へ一斉送信します。送信記録が残るため、実施の証跡を確保しやすい方法です。

方法 3

説明会・研修とあわせて実施

40歳到達者向けのセミナーで説明する方法です。理解度が最も高く、雇用環境整備の「研修の実施」も同時に満たせます。

方法 4

個別面談での説明

対象者が少ない企業に向く方法です。オンライン面談でも問題ありません。

注意:社内ポータルサイトへの掲載のみでは、個別の情報提供にあたらない可能性があります。「対象者に届けた」といえる形での実施をおすすめします。

社内での運用フロー

年1回の一斉実施を前提とした、標準的な運用の流れです。

1

対象者を抽出する

人事システムの生年月日データから、当該年度に40歳へ到達する従業員を抽出します。

2

配布資料を準備する

必須3項目に自社の制度・申出先を反映した資料を用意します。法改正のたびに更新が必要です。

3

配布・説明を実施する

メール送付または説明会を実施します。あわせて相談窓口の案内も行います。

4

実施記録を保管する

誰に・いつ・どの方法で提供したかを記録します。法令上の保存義務の有無にかかわらず、実施の証跡として有用です。

よくあるつまずき

資料の作成に想定以上の工数がかかる

介護保険法と育児・介護休業法の両方を正確に反映した資料を自社で作成するには、相応の専門知識が必要です。制度改正のたびに更新も発生します。外部の専門事業者が作成した資料を活用する方法も検討に値します。

配って終わりになってしまう

資料を配布しただけでは、実際に介護が始まったときに相談してもらえるとは限りません。相談窓口とセットで案内することで、「困ったらここに連絡すればよい」という認識が定着します。

40歳未満・40歳超の従業員が対象から漏れる

義務の対象は40歳到達者ですが、介護は年齢を問わず発生します。義務対応にとどめず、全社員向けのセミナー等と組み合わせることで、離職防止の実効性が高まります。

よくあるご質問

40歳到達時の情報提供は、いつまでに行えばよいですか?

労働者が40歳に達する日の属する年度、またはその翌日から1年間のいずれかの期間に行います。年度単位でまとめて実施することも可能です。

情報提供は紙で配布しなければなりませんか?

紙に限定されません。面談、書面の交付、FAX、電子メール等のいずれかの方法で差し支えありません。ただし社内ポータルへの掲載のみでは個別の情報提供にあたらない可能性があるため、対象者へ届く形での実施をおすすめします。

すでに40歳を超えている従業員にも情報提供が必要ですか?

義務の対象は40歳に達する労働者です。ただし介護は年齢を問わず発生するため、40歳以上の従業員にも改めて周知することで、介護離職の防止という制度本来の目的により沿った運用となります。

出典

※本記事は2026年8月時点の情報に基づいて作成しています。制度の詳細や個別の適用については、所轄の労働局・労働基準監督署または社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

資料作成の負担を軽減しませんか

40歳到達時の介護情報提供パッケージ

東急ウェルネスでは、介護保険法・育児介護休業法の要点をまとめたオリジナルの「介護に関する基本情報ガイド」を作成しご提供しています。制度改正時の更新にも対応するため、人事ご担当者様の作成・更新の負担がかかりません。

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