介護の基礎知識

40歳から引かれる介護保険料|いくら・いつまで払うのか

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

ノートパソコンで給与明細を確認する従業員

40歳の誕生月をむかえた従業員から、「今月から手取りが減っているのですが、何かの間違いでしょうか」と問い合わせを受けることがあります。間違いではありません。40歳になると介護保険料の給与天引きが始まります
この記事では、いつから引かれるのか、月いくらになるのか、いつまで続くのかを、実際の料率にもとづいて整理します。あわせて、40歳から払っていても、使えるのは限られた場合だけという誤解の多い点もご説明します。従業員の方にそのままお渡しいただける内容にしています。

いつから引かれるのか|誕生日の前日が属する月から

介護保険料の負担が始まるのは、40歳の誕生日の前日が属する月からです。「誕生日の月から」ではない点が、毎年かならず問い合わせを生みます。

4月10日生まれの方……40歳に達する日は4月9日。4月分から徴収が始まります。
4月1日生まれの方……40歳に達する日は3月31日3月分から徴収が始まります。1日生まれの方だけ、1か月早く始まります。

実際に手取りが減るのは、その月の給与が支払われるときです。当月控除か翌月控除かは会社の規定によるため、「3月分の保険料が4月の給与から引かれる」会社もあります。問い合わせを受けたときは、自社がどちらの方式かを確認してからお答えください。

いくら引かれるのか|協会けんぽは1.62%、本人負担はその半分

介護保険料は、健康保険料と同じ「標準報酬月額」に料率をかけて計算し、会社と本人で半分ずつ負担します(労使折半)

協会けんぽの介護保険料率は全国一律1.62%です(令和8年度。健康保険料率と違い、都道府県による差はありません)。健康保険組合に加入している場合は組合ごとに料率が異なるため、自社の組合の数字を確認してください。

標準報酬月額ごとの、月額の目安は次のとおりです。

介護保険料(全額) 本人負担(月額)
22万円3,564円1,782円
30万円4,860円2,430円
41万円6,642円3,321円
50万円8,100円4,050円

計算式は「標準報酬月額 × 1.62% ÷ 2」です。月給30万円の方であれば、本人負担はおおよそ月2,430円。年間では約29,000円になります。

賞与からも引かれます。標準賞与額に同じ料率をかけて計算するため、賞与月は控除額がまとまって増えます。「賞与の手取りが思ったより少ない」という問い合わせの一因です。

いつまで引かれるのか|65歳で「給与天引き」は終わる

給与からの天引きは、65歳に達する日(誕生日の前日)が属する月の前月分で終わります。ただし、介護保険料の支払いそのものが終わるわけではありません。

40歳から64歳(第2号被保険者)
健康保険料と一緒に、給与・賞与から天引きされます。会社が半分負担します。

65歳から(第1号被保険者)
お住まいの市区町村へ納めます。原則として年金からの天引き(特別徴収)に切り替わり、会社の負担はなくなります。金額も市区町村ごとに決まった額になります。

「65歳になれば払わなくてよくなる」と誤解されることがありますが、納め先と金額の決まり方が変わるだけです。定年後の生活設計を考える従業員の方には、この点を正確にお伝えください。

払っていても、すぐ使えるわけではない|16の特定疾病

ここが最も誤解の多いところです。40歳から保険料を払っていても、40歳から64歳の方が介護保険のサービスを使えるのは、加齢に伴う16の「特定疾病」が原因で介護が必要になった場合に限られます。

  • 末期がん/関節リウマチ/筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 初老期における認知症/パーキンソン病関連疾患/脊髄小脳変性症
  • 脳血管疾患/慢性閉塞性肺疾患/糖尿病性の神経障害・腎症・網膜症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症/両側の膝関節または股関節の変形性関節症 ほか

交通事故によるケガなど、加齢と関係のない原因では、40歳から64歳の方は介護保険の対象になりません。

「自分の保険料を親の介護に使う」ということでもありません。親御さんが介護保険を使うときに根拠になるのは、あくまで親御さんご自身の被保険者資格です。従業員の方が払っている保険料は、制度全体を支えるためのものです。この点を最初に伝えておくと、後の説明がずいぶん楽になります。

給与明細のどこを見ればよいか

給与システムによって、表示は2通りに分かれます。

健康保険料と別の行になっている

「介護保険料」という項目が独立して並びます。40歳の月から行が1つ増えるので、従業員の方にも変化が分かりやすい形です。

健康保険料に合算されている

「健康保険料」の1行のまま金額だけが増えます。この形式の場合、問い合わせが増えます。40歳到達者への事前の案内が特に効きます。

どちらの形式かは、給与規程ではなく実際の明細を見れば分かります。従業員向けの案内文をつくるときは、自社の明細の実物に合わせた言い方にしてください。

人事の方へ|40歳到達時の情報提供とセットで案内する

2025年4月から、事業主には40歳等に達した従業員への、仕事と介護の両立支援制度に関する情報提供が義務づけられています。介護保険料の天引きが始まるタイミングと重なるため、この2つは1枚にまとめて配るのが実務的です。

保険料の話は「お金が引かれる」という後ろ向きな知らせですが、両立支援制度の案内と一緒に渡せば、「これから備えるための情報」として受け取ってもらえます。義務への対応と、従業員の安心を同時に満たせる数少ない機会です。

そのまま使える説明例
「40歳の誕生日を迎える月から、給与の控除に介護保険料が加わります。協会けんぽの場合は標準報酬月額の1.62%を会社と折半しますので、月給30万円の方でおおよそ月2,430円です。65歳になると給与天引きは終わり、市区町村へ納める形に変わります。あわせて、当社の介護休業・介護休暇の制度をご案内しますので、ご一読ください。」

制度の一覧は仕事と介護の両立支援制度の一覧に、40歳到達時に何をいつ配ればよいかは40歳到達時の介護情報提供義務とは?何を・いつ・どう配ればよいかにまとめています。

よくあるご質問

40歳の誕生日が1日の場合、いつから引かれますか?

前月分から引かれます。40歳に達する日は誕生日の前日にあたるため、4月1日生まれの方は3月31日に40歳に達したことになり、3月分からの徴収になります。1日生まれの方だけ、ほかの方より1か月早く始まります。

65歳になったら介護保険料は払わなくてよくなりますか?

いいえ。給与からの天引きは65歳に達する月の前月分で終わりますが、65歳からは第1号被保険者としてお住まいの市区町村へ納めます。原則として年金からの天引きに切り替わります。納め先と金額の決まり方が変わるだけで、支払いは続きます。

40歳から払っている介護保険料は、親の介護に使えますか?

直接そうなるわけではありません。親御さんが介護保険サービスを使う根拠は、親御さんご自身の被保険者資格です。ご本人が40歳から64歳の間に介護保険を使えるのは、末期がんや関節リウマチなど加齢に伴う16の特定疾病が原因で介護が必要になった場合に限られます。

出典

※本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成しています。介護保険料率は年度ごとに改定され、健康保険組合に加入している場合は組合ごとに料率が異なります。実際の控除額は、必ず加入している保険者の最新の料額表でご確認ください。

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