介護の基礎知識

ダブルケアとは|育児と介護が重なったときの制度と働き方

監修 東急ウェルネス株式会社 介護離職防止サポート 責任者 A.T.

食卓を囲む三世代の家族のイメージ

ダブルケアとは、子育てをしている人が、同じ時期に親などの介護も担う状態のことです。国の推計では約25万人で、その8割が30〜40代の働く世代です※1。育児と介護の制度は、育児・介護休業法でそれぞれ別に定められていて、組み合わせて使えます。ただし、休業のように重ねて取れないものもあります。この記事では、ダブルケアの現状と仕事への影響、使える制度と重ねられないもの、保育所や介護サービスの使い方、相談先を、働く人と人事担当者の両方に向けて整理します。

ダブルケアとは|子育てと介護が同じ時期に重なる状態

内閣府の調査は、晩婚化・晩産化を背景に、育児期にある人(世帯)が親の介護も同時に担うことを「ダブルケア」と呼んでいます※1。子どもがまだ小さいうちに親の介護が始まる、という形がよくあります。

介護の相手は親とは限りません。内閣府の推計では、障がいなどの事情のある子や、配偶者の介護をしている場合も含めて数えています※1。また、親と義理の親のケアのように、子育てに限らずケアが重なっている状態を、広い意味でダブルケアと呼ぶ自治体もあります※8。呼び方の範囲は、調査や自治体によって違います。

ダブルケアをしている人は約25万人|8割が30〜40代

内閣府が2012年の就業構造基本調査を集計し直した推計では、ダブルケアをしている人は約25万人(女性約17万人、男性約8万人)です。平均年齢は女性38.9歳、男性41.2歳で、男女とも30〜40代が約8割を占めます※1。2017年の同じ調査を集計し直した表では、未就学の子の育児と家族の介護をしている人は約29万人(293,700人)で、ここでも30〜40代が約9割です※2。

ダブルケアをしている男性の約9割は仕事が主で、女性も約半数が仕事をしています※1。ダブルケアの多くは、会社で働く世代に起きています。

仕事への影響|女性の約4割が働き方を減らした

内閣府のインターネット調査(小学生以下の子の育児と、親・義理の親・祖父母の介護が重なっている人)では、ダブルケアの前に働いていた人のうち、業務量や労働時間を減らした人は、男性18.7%、女性38.7%でした。離職して無職になった人は、男性2.6%、女性17.5%です(どちらも、ダブルケアの前に働いていた人全体に対する割合)※1。

「業務量や労働時間を変えなくてすんだ」理由で最も多かったのは、男性が「家族の支援が十分得られたから」、女性が「子供を育児サービスに預けることができたから」でした※1。育児と介護のそれぞれに支えを用意できるかどうかで、働き続けられるかが分かれています。

育児と介護の制度は、組み合わせて使える

子どもと一緒にパソコンを使う母親のイメージ

育児・介護休業法は、育児(子の養育)と介護(要介護状態の家族の介護)の制度を、それぞれ別に定めています。それぞれの条件を満たせば、両方の制度を組み合わせて使えます※3。主な制度を並べると次のとおりです(2025年4月・10月の改正後)。

制度 育児 介護
休業 育児休業:原則、子が1歳になるまで(保育所に入れないときなどは最長2歳まで)。子1人につき原則2回 介護休業:対象家族1人につき通算93日まで、3回まで
休暇 子の看護等休暇:小学3年生の修了まで。1年度5日(2人以上は10日)。時間単位でも取れる 介護休暇:1年度5日(対象家族が2人以上は10日)。時間単位でも取れる
残業の免除 小学校に入るまでの子 要介護状態の家族がいる間(何回でも請求できる)
残業の上限・
深夜業の制限
小学校に入るまでの子。残業は月24時間・年150時間まで、深夜は午後10時〜午前5時の仕事を免除 要介護状態の家族を介護する人。中身は育児と同じ
短時間勤務など 3歳まで:1日原則6時間の短時間勤務。3歳から小学校に入るまで:会社が用意する2つ以上の働き方から1つを選ぶ 対象家族1人につき、利用開始から3年以上の間に2回以上:短時間勤務・フレックスタイム制・時差出勤・介護サービスの費用の助成のどれか
テレワーク 3歳未満の子(会社の努力義務) 要介護状態の家族(会社の努力義務)

重ねて使えないものもある

  • 休業:育児休業の途中で介護休業が始まると、育児休業は終わります。介護休業の途中で育児休業が始まると、介護休業が終わります。2つの休業を同じ期間に重ねて取ることはできません
  • 残業の免除と残業の上限:所定外労働の制限(残業の免除)と時間外労働の制限(残業の上限)は、育児と介護をまたいでも、同じ期間に重ねて請求できません

一方で、子の看護等休暇と介護休暇は別の制度で、日数もそれぞれにあります。法律の制度は最低限の基準で、会社がより広い制度を設けることは望ましいとされているので、勤め先の就業規則も確かめてください※3。育児と介護の制度の全体は、育児・介護休業法とは|2025年改正のポイントと会社の義務で一覧にしています。

保育所は、親の介護も「保育が必要な理由」になる

保育所などを使うには、市区町村から「保育の必要性」の認定を受けます。その理由の一つに、同居の親族(長期間入院などをしている親族を含む)を常時介護または看護していることが定められています※4。仕事の時間だけでなく、親の介護を理由に保育所を使える場合があるということです。

条件は、保護者のどちらもが、仕事や介護などの理由のどれかに当てはまることです。同居の家族などが子どもをみられる場合は、優先の度合いが調整されることがあります。別居の親の介護の扱いや、点数の付け方は市区町村ごとに違うので、お住まいの市区町村の保育の窓口で確かめます※4。

介護サービスは、子育ての事情も伝えて組み立てる

親の介護サービスの計画(ケアプラン)は、ケアマネジャーが、本人の状態だけでなく家族の状況や希望も踏まえて作ることになっています。国が示す確認の項目にも、家族の仕事の有無や負担感が入っています※5。子育てで手が離せない時間帯、仕事の時間、頼れる家族の有無をはっきり伝えると、計画に反映してもらいやすくなります。

日帰りのデイサービスや、短期間泊まるショートステイは、本人の生活を支えるだけでなく、家族の体と心の負担を軽くすることも目的に定められたサービスです※5。子どもの行事や体調不良が重なりやすい時期に、あらかじめ組み込んでおく使い方もできます。ケアマネジャーの役割は、ケアマネジャーとは|役割と、従業員に案内するときの要点で解説しています。

相談先|介護は地域包括支援センター、子育てはこども家庭センター

  • 介護:地域包括支援センター。市区町村が置く高齢者の総合相談の窓口で、相談は無料です。地域によって名前が違います※3
  • 子育て:こども家庭センター。2024年4月から市区町村が置くよう努めることになった、妊娠・出産・子育ての相談の窓口です※6
  • 働き方:勤め先の人事。育児・介護休業法については、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)でも相談できます※3

子育てと介護をまとめて相談できる窓口を設けている自治体もあります。たとえば堺市は、区役所の基幹型包括支援センターに「ダブルケア相談窓口」を置き、保育所などの利用の配慮や、ショートステイの利用日数の延長に取り組んでいます。神戸市は、区役所・支所の保健福祉課で子育てと介護の相談をまとめて受けています※7。

会社への伝え方と、人事担当者の方へ

育児と介護の両方を抱えているときは、片方だけでなく両方を人事に伝えます。育児と介護の相談の窓口が別の会社では、片方の相談だけで全体が伝わらず、制度の組み合わせ方を見落とすことがあります。

人事担当者の方は、次の点を確かめておくと、相談を受けたときに迷いません。

  • 育児の相談を受けたときに、親の介護の状況も聞く(介護の相談のときは、子育ての状況も聞く)
  • 休業が切り替わるときは、どの休業がいつ終わるかと、給付金の手続きを本人と確かめる
  • 残業の免除と残業の上限は、育児と介護で期間が重ならないように請求を受ける
  • 国の両立支援等助成金には、介護離職防止支援コースや育児休業等支援コースなどがある

内閣府の調査では、ダブルケアをしている人が勤め先に「最も充実してほしい」と答えた支援は、男女とも「子育てのために一定期間休める仕組み」でした※1。育児と介護の制度を1枚にまとめて渡すだけでも、相談のしやすさは変わります。社内の制度の一覧の作り方は、仕事と介護の両立支援制度とは|7つの制度の一覧と会社の義務を参考にしてください。

よくあるご質問

ダブルケアとは何ですか?

子育てをしている人が、同じ時期に親などの介護も担う状態のことです。内閣府の推計では約25万人で、男女とも30〜40代が約8割を占めます。介護の相手は親とは限らず、配偶者や、障がいなどの事情のある子の場合も含めて数えています。

育児休業と介護休業は、同時に取れますか?

同じ期間に重ねて取ることはできません。育児休業の途中で介護休業が始まると育児休業は終わり、介護休業の途中で育児休業が始まると介護休業が終わります。どちらの休業をいつ取るかは、勤め先の人事と相談して決めます。

子の看護等休暇と介護休暇は、両方使えますか?

使えます。別の制度で、それぞれ1年度に5日(対象の子や家族が2人以上なら10日)まで取れ、時間単位でも取れます。

親の介護を理由に、保育所に入れますか?

同居の親族(長期間入院などをしている親族を含む)を常時介護または看護していることは、保育所を使うための「保育の必要性」の理由の一つです。別居の親の介護の扱いや優先の度合いは市区町村によって違うので、お住まいの市区町村の窓口で確かめてください。

ダブルケアの相談は、どこにすればよいですか?

介護は地域包括支援センター、子育てはこども家庭センターが公的な窓口です。働き方は勤め先の人事に相談し、育児と介護の両方を抱えていることを伝えます。自治体によっては、子育てと介護をまとめて相談できる窓口もあります。

出典

※本記事は2026年10月時点の情報に基づいて作成しています。育児・介護休業法の見直しが議論されているため、最新の制度は厚生労働省のページでご確認ください。保育所の利用の条件は、お住まいの市区町村にご確認ください。

育児と介護が重なる従業員に

従業員向け介護セミナー・常設相談窓口

子育て中の従業員に親の介護が重なると、相談の窓口が別々で全体を話せる場がないまま、働き方を減らしてしまうことがあります。東急ウェルネスでは、ケアマネジャー等の有資格者が、介護の体制づくりと仕事の続け方を従業員と一緒に考えます。導入をご検討の人事担当者さまは、お問い合わせください。

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